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情報商材の黒幕一覧 ハーバライフ[http //www.herbalife.co.jp/myhl/ethic/disclaimer/y/index.html] スキンケア商品や栄養補助食品を会員に売ってもらうことで成り立っているよう。 仕組みはどうやらマルチ(ねずみ講)っぽいです。 フロンテイラ[http //www.fronteira.jp/] 創業106年の老舗が行っているリアルビジネスからネットビジネスへの応用! 情報商材の販売を手がけていて、インフォトップで一位になったことがセールスポイント。 インフォトップ[http //www.infotop.jp/] インフォトップとは日本一の情報起業家を自負する菅野一勢氏が立ち上げられた インフォトップアフィリエイトサービス。とのこと。 「情報商材の総合商社や~♪」 ここに行くとどんな情報商材があるのか知ることが出来ます。大量です。
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西遊記 THE鑑識官シリーズ サガシリーズ That s QT サバイバルキッズシリーズ 侍シリーズ サモンナイトシリーズ シャイニング・フォース イクサ ジャスティス学園シリーズ JEANNE D ARC(ジャンヌ・ダルク) ジルオール 真・三國無双シリーズ SIMPLE2000シリーズVol.43 THE裁判 スーパーロボット大戦シリーズ スキャンダル スターオーシャンセカンドストーリー シンデレライフ 砂のエンブレイス ~エディンの里のネーブル~ 聖剣伝説シリーズ Saints Row2 セイントアイズ 世界はあたしでまわってる 世界樹の迷宮シリーズ 絶体絶命都市シリーズ ゼノサーガシリーズ セブンスドラゴンシリーズ 零シリーズ ソウルクレイドル 世界を喰らう者 ソーマブリンガー 空の軌跡シリーズ
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御嶽教神仰教会 京都府京都市左京区に鎮座する御嶽教神仰教会の御朱印です。 ★住所 京都府京都市左京区聖護院東町27-1 - 名前 コメント
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ルシャディール旧教会 出現MOB 名前 属性 Lv HP 攻撃力 防御力 ドロップ 備考 悪辣な盗賊の亡霊 氷 4250 36500 ダークレイスシャード 攻撃でウィザーと移動速度低下を付与 BOSS 名前 属性 Lv HP 攻撃力 防御力 ドロップ 特殊行動 備考 不死王閣 闇 4300 485000 不死の魂,精神空虚(レア) 攻略等 ダンジョン自体は非常に短く、すぐBOSS部屋にたどり着ける。 しかしBOSSが非常に特徴的であり、普通に攻撃しても絶対に倒せないという特徴がある。 このダンジョンに繋がっているエリア ワルディム砂漠
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FC/080 R 《道化師》カンパネルラ/《身食らう蛇》(ウロボロス) 男性 パートナー 《白面》ワイスマン教授/《身喰らう蛇》 男性 レベル 2 攻撃力 2500 防御力 2000 【これより使徒ワイスマンによる『福音計画』の見届けを始める】《導力》 【スパーク】【自】あなたは自分の山札を見て、『《道化師》カンパネルラ』以外の称号に“身喰らう蛇”を含むカードを1枚まで選んで相手に見せ、残りの山札をシャッフルし、選んだカードをその山札の上に置く。1枚以上置いたら、このカードを自分の控え室に置く。 作品 『空の軌跡シリーズ』
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その提案は、実に唐突だった。 「ねえ、紅葉を見に行かない?」 季節はまだまだ夏の暑さが残るものの、秋神が頑張ったのだろうか、 今年はこの時期にも関わらず、妖怪の山は紅と橙の二色に支配されてるという。 無論断る理由もないし快く承諾……しようと思ったのだが、疑問が1つ。 「大丈夫なのか?お前が山に行って」 妖怪の山まで赴くとなると、当然あの秋神の姉妹と出くわす可能性もあるだろう。 お互いにいがみ合ってるのなら邂逅はまずいかな……とか考えたのだが、 「あら、大丈夫よ。今回の誘いは向こうからだもの。 こう見えても私、秋姉神の方とは仲がいいのよ、ふふっ」 見せつけるようにはにかむうちの雪女様の交友関係にやや驚愕しつつ、 ともかくそう言う事なら心配事はないな、と、俺はレティにオーケーのサインを出す。 同時にちょっとした違和感が頭をよぎったのだが、その時はそれが何かに気づけぬまま、 結局それに気づかされるのは当日の事となる。 当日。 ヒャッハァ!!紅葉狩りだぜ!!と意気込んでいた俺を待ち構えていたのは、 案の定と言うか何と言うか、見渡す限り緑に覆われた妖怪の山であった。 そう言えば、数日前に通りかかった妖怪の山も、大体こんな感じだったっけ。 頭の中でずっと感じてた違和感はこれだったのか、と今更ながら感心しつつ、 しかし一体どうするべきかと頭を悩ます。 「……騙されたか?」 「おかしいわね、静葉の話だと、もう見頃って話だったんだけど……」 レティにもこの情景は全くの想定外だったらしく、 一体どうしたのだろうかと辺りをきょろきょろ見渡すだけ。 「あら、いらっしゃい」 と、そこへ、この誘いを持ちかけた張本人、秋静葉がやって来る。 口調に何ら悪びれたような様子はない。やはり謀られたか。 「おいおい、どう言う事だ? 俺達はあんたに誘われたから、こうやって来たってのに」 「そうよ、静葉。説明をもらわないと納得できないわ」 「ああ、はいはい。ちゃんと説明するから、そう怒らない怒らない……と言いたいところだけど。 論より証拠って事で、実際にその目で拝んだ方が早いでしょ、着いてきなさいな」 そう言うなり、静葉は後ろを向けて山に向かって進みだした。 呆気に取られる俺とレティを尻目に、静葉はどんどんと山へと入って行く。 この状況下で彼女を見失う事は、それ即ち全ての情報を失うに等しい。 俺は考えるよりも前にレティの手を引き、静葉の後を追うようにして山へと入っていった。 「どこへ連れて行く気だ……?」 「さあ」 山道がどんどん険しくなるのを見ると恐らくは山の奥深くに進んでいるのだろうが、 奇妙な事に進めば進むほど、それまでずっと緑色だった木々の葉っぱの中に、 だんだんと赤や黄色、オレンジが混じり出しているのがはっきりと分かる。 ただ黙って静葉の後から山道を進む事30分、不意に、それまでずっと前を歩いていた彼女の足が止まる。 「さあ、着いたわ」 彼女が足を止めた先には、割と開けた広場のような場所が広がっていた。 そしてそこは先頃の静葉の言葉通り、「紅と橙の二色に支配されて」いた。 ひらひらと舞い落ちる紅葉が地面に積もり、さながら天然のカーペットを模っているかのよう。 目の前に広がる非日常的な光景に思わず目が眩む。 そしてそれは恐らくレティもそうなのだろう、信じられない、と言った目でぼうっと前を向いている。 「驚いたでしょ?」 そんな俺達に向かって、静葉はこれ見よがしに微笑む。 「ここは妖怪の山でも、私の力が最も強く働くところなの。 妖怪の山の木々はここを中心として、じょじょに葉っぱが色付き出すってわけ。 本当は秘密の場所なんだけど……友人のよしみって事で、今回は特別に、ね」 「静葉……ごめんなさい、疑って悪かったわ」 「俺も悪かった。すまない」 「いいのよ、別に。説明不足だった私も悪いわけだし。それじゃ、後は2人でごゆっくり」 「ごゆっくり」と言う言葉にかすかな期待の意を感じ取ったのは俺だけだろうか。 ともかく静葉は背を向けて、元来た道を帰って行った。 紅葉の舞う中、取り残された俺とレティの2人。 「……え、えーと、どうするよ?」 「どうするって言われても……静葉の言ったとおり、ゆっくりしていくしかないんじゃない?」 そう言うとレティはおもむろに、その体を横にした。 紅葉の絨毯の上で横になる雪女とは、これいかに。 とにもかくにも彼女に倣って、俺も紅葉の上で横たわる事にしてみる。 背中に伝わるふかふかした感触と、心地よい暖かみ。 しばらくの間は無言でこの幸せを味わっていたが、 「……ねえ」 不意に、レティの声が聞こえた。 同時に俺の左手に握られる、彼女の柔らかい手のひら。 「……あなたは今、幸せ?」 「愚問だな。もし仮に幸せじゃないとしたら、どうして俺はレティとここにいる? レティと1年中いる事ができて、とっても幸せだからに決まってるじゃないか」 「……ふふっ、そうね。私も、とっても幸せよ。 冬しか生きられなかった私が、春の桜を見、夏の花火を見、そして今、こうして秋の紅葉を見てる。 あなたと付き合う前は、とても考えられない事ばかりだったわ……」 「……レティ……」 その時の彼女の顔を、俺は見ていない。 声のトーンからして、見らずともどんな顔をしているかは大体想像がつくからだ。 だからこそ俺は目を瞑ったまま体を回転させて、横たわったままの彼女の体を抱きしめる。 と同時にレティもこちらに体を向けたらしく、彼女の息遣いが間近で感じられる。 「……もうすぐ、冬だな」 「……まだ3ヶ月くらいあるけどね」 「3ヶ月なんてあっという間だろ。こうやって愛していれば」 目を閉じたまま、俺はレティの唇を塞ぐ。 視界がない分だけ他の様々な感覚が研ぎ澄まされ、いつもより深く、レティを感じられる。 彼女も負けじと、より激しく、そしてより深く、口の中で俺を求めて来る。 やがて名残惜しそうに唇が離れ、俺は目を開ける。 レティのサファイアのような瞳からは、もう涙は滴ってなかった。 「……桜の下でも、花火の下でも、こうやって変わらず愛し合ったっけ」 「そして今日は紅葉の下で……ってわけかしら?」 「上かもな」 「ふふっ、確かに。それじゃ……続き、しましょ?」 一際強い風が吹き、紅葉が俺とレティを覆い隠すかのように舞い踊る。 それはさながら、紅と橙で模られた秋のカーテンとでも言ったところか。 全く自然も粋な計らいをするよな、と俺は思いつつ、再びレティの唇を――― 新ろだ684 ─────────────────────── 季節は秋も半ば、長月も終わりかけて神無月へ向かおうとしている、そんな頃。 幻想郷中が糖分で埋め尽くされそうになった『糖分異変』も終息し、 またいつものように、平穏でゆっくりとした時間が流れ……る暇もなく。 幻想郷中に配布された1枚のチラシが、にわかに人妖のカップルを慌ただしくさせていた。 そしてそれは俺達も例外ではなく…… 「外界旅行……ねえ」 ある日の早朝。 隣でぐっすりと眠っているレティを尻目に、俺はそのチラシとにらめっこしていた。 チラシには派手な色で、大きくこんな文字が書かれてある。 『今年も開催、神無月外界ツアー!!』 そう言えば去年もこんな事やってたっけ、と、ふと記憶が蘇る。 去年の旅行は残念ながら見送る羽目になってしまったが、今年は違う。 冬にしかいっしょにいられなかったはずの俺の恋人は、 春に花見を、夏に花火を、秋には紅葉を楽しめるようになり、 そして今、こうして俺の隣ですやすやと寝息を立てている。 もしこの話を持ちかけたら、喜んで彼女はオーケーしてくれるに違いない。 ヒャッハー、今から来月が楽しみだぜ!!とかいった気分に浸りつつ、 しかし同時に一抹の不安が頭をよぎる。 「……どこへ行こう……」 ずっと幻想郷に住んでいた彼女に、外の世界の知識など当然皆無。 よって必然的に俺がエスコートする事になるのだろうが、 情けない事に、外の世界の観光地に対する俺の知識は甘い。 自信を持って案内できるのは、せいぜい俺の故郷の近くくらいだろう。 そんな事で大丈夫なのだろうか、もっとメジャーなところの方がいいのでは、 とか色々思考を巡らせているうちに、どうやら早起きが祟ったらしく、眠気……が…… 「……ねえ、起きてよ。いつまで眠ってるのよ」 目が覚めると、さっきは隣で眠っていたレティの顔が、俺の真上にあった。 寝ぼけ眼でもその瞳に映る姿は相変わらず綺麗で美しい……じゃなくって、 時計を見た感じ、どうやら最初に目が覚めた時からかなりの時間が経ってるらしい。 我ながら不覚、と思いながら体を起こすと、 「これ」 目の前に1枚の紙が突き出された。 寝起きで拝むにはやや辛い文字色で書かれたそれは、 俺が早朝に眺めていた、外界ツアーの開催を知らせるチラシ。 「行くでしょ?」 にこやかに微笑むレティ。 まさか話を持ちかける前に向こうからこう言ってくるとは願ったり叶ったり。 まあ、となれば無論返事は決まってるわけで。 「ああ、いっしょに行こう。2人で楽しい旅行にしような」 そのままレティをそっと抱きしめ、優しく口づけを交わす。 もし天狗やらスキマ妖怪やらに見られてたら、朝からお盛んですね、とか言われそうなものだが、 いつかの糖分異変では時間や場所を問わず1日中イチャイチャしてたわけから、こんな事でいちいち茶々は入れさせない。 しばらくの間は、そうしてゆっくりと2人だけの時間が過ぎていき…… ……30分後。 さすがにやりすぎたと思っている、だが反省も後悔もしていない、 とか誰に言うまでもなく心の中で呟き、ようやく俺とレティは唇を離した。 長い間互いを求め合ったせいか、息は荒く、顔は赤い。 「……あ、秋なのに、何でこんなに暑いのかしら」 「……『熱い』の間違いじゃないか、それ」 体はやはり無意識のうちに砂糖を求めてしまうのかね、とか思いながら、 しばらくは茫然とその場に座りつくしていたが、ふとレティが口を開く。 「……旅行のプランは、全部あなたに任せる形になるのよね?」 「あー、うん、まあそう言う形になるだろうが……どうした?」 「ちょっと……行きたいところがあって」 「行きたいところ?どこ?」 これは意外な提案だった。 よもやレティに外の世界の観光地の知識があったとは、とか、 しかしあんまり知らないところだと俺も困るなぁ、とか思いながら、次の言葉を待つ。 「……あなたの、生まれ故郷」 「……みゃ?」 我ながら情けない声を出してしまった。 あー、まあ確かに、恋人の生まれ故郷を見てみたいっつーのは素直な願望だろうし。 深読みしてた俺乙、ってところか。 「……ダメ、かな?」 間の抜けた返事に不安になったのか、上目遣いでこちらを見てくるレティ。 ええい、その表情反則だって。例え最初から行く気がなかったとしても、 その顔でお願いをされたら喜んでプランに練り込むだろーっ。 「ダメなわけないだろ。連れてってやるよ、俺の生まれ故郷。 ……まあ、何にもない静かなところだけどな」 「それでいいわよ。あまり賑やかなところは、好きじゃないもの。 それじゃ、朝ご飯作ってくるわね。楽しみにしてるわよ、あ・な・た♪」 最後に俺の頬にキスをして、台所へと向かって行くレティ。 あまり過度に期待されても困るんだが、行くからにはしっかりとしたプランを練る必要がある。 1年に1回の楽しい旅行だ、どうせなら一生の思い出に残るようにしたい。 俺は紙と鉛筆を持ちだすと、今では霞んできている外の世界の記憶を掘り起こしながら、 あーでもないこーでもないと呻きつつ、再び紙とにらめっこするのだった。 神無月まで、あと少し。 _____________________ ガタンゴトン、ガタンゴトン。 田園地帯を走る電車に揺られながら、俺達は目的地を目指す。 新幹線が流通している都市部と違い、俺の故郷は残念ながら辺境の片田舎にある。 幻想郷に行く前は比較的利用客も多かったこの地域で唯一の電車は、 今や乗客もほとんどなく、現に俺達と同じ車両に乗ってるのは数えるほどしかいない。 「懐かしいなあ、俺も高校時代はよくこの電車にお世話になってたっけ」 「外の世界の人間って、みんなこんなのに乗ってるの?」 「いんや、今は車と、新幹線と、それに飛行機って辺りだな。 今更こんなローカルな移動手段を使うのは俺達くらいのもんさね」 「あら、私は好きよ?こう言うゆったりとした速度で移動するの。 別に時間はたっぷりあるし、急ぐ必要も皆無だしね」 「ところがどっこい、外の人間は効率よく時間を運びたがるから、 こう言った前世代型の乗り物はあんまり使わないのさ」 「ふーん、外の世界の人間って、もったいない事してるのね」 「どうし……んっ」 言い終わる前に、隣に座っていたレティに唇を塞がれる。 乗っていた数少ない乗客の視線が集まったのにも動じる事無く、 もっと深く、とせがまんばかりに俺の体を抱き寄せて来る。 全く仕方ないなぁ、とばかりに俺もその求めに応え…… ……とまあこんな感じで、電車に揺られる事2時間半。 車掌も含めた乗客全員に温かい目で見られながら、俺達は列車を降りた。 幸いにして小さな駅だったので、昼間とはいえホームには誰もいない。 秋半ばの涼しげな風が、妙に火照った体に心地いい。 「……結局、お前が積極的なのはどこでも変わらず……か」 「雪女は人を誘惑するのが趣味なのよ、うふふ」 「さいですか」 「それで、どこに連れてってくれるのかしら? あなたが案内してくれるのなら、私はどこへだってついていくわよ」 「そう言われると、逆にプレッシャー高まるんだが…… まあ、できるだけいい旅になるようにエスコートするつもりだ。不束者だが、よろしく頼む」 「ええ、喜んで」 そう言って俺はレティの手を取り、ホームを後にする。 先日から練ったプランはあるにはあるのだが、果たしてこれでレティを満足させる事ができるのか、未だに不安が残る。 しかし、その事を今更考えても仕方ない。来たからには楽しい旅にする、これが真情だろう。 全力でエスコートするのが今のあなたにできる善行です、って閻魔様も言うだろうしな!! そんなこんなで、市街地へと足を踏み入れたのだが…… 「……♪」 さっきからレティは何も言わず、俺の腕にしがみつきながら歩いている。 いや、別に幻想郷ではずっとこうして歩いてたから、行為自体に恥ずかしさを感じる事は微塵もないのだが、 周囲を歩いている人達の視線が、何と言うか痛い。それももの凄く。 電車の中でのアレはある程度自分も狂気に支配されてただろうから何ともなかったが、 今こうして正気に戻った時に、これは恥ずかしすぎる。 「な、なあレティ、そこまで密着しなくてもいいんじゃ……」 「あら、嫌だった?」 「い、いや、そう言うわけではなくてだな……」 レティの服装は、帽子がない事と服が半袖である事を除けば、ほぼ向こうでの姿と変わりない。 普段は帽子に隠れていた、ボリュームのある蒼みがかった銀髪には、雪の結晶を模った髪飾り ―――俺が出発前に、香霖堂で仕入れたものだ―――がついている。 それが一層彼女の可憐さを引き出しているのかは果たして定かではないが、 とにかくすれ違う男性は十人が十人ともこちらの方に視線を向けたし、 またこんな恰好で歩いているせいか、俺達の周りには半径5メートルほどの空間が広がっている。 あんまり近くに寄りたくない、って事だろう。 「……何と言うか、恥ずかしい」 「うふふ、何を今更。いつかの異変の時は常時こんな状態だったじゃない。 あの時はこれに追加して濃厚なディープキス、プラスαがついてたけどね」 「えーい、あの時と比較するなあの時と。と言うか、プラスαについてそれ以上喋るな。 故郷に帰って来てまであの紫魔女の声は聞きたくない」 「それもそうね……それじゃこの続きは、夜になったらいーっぱい話してあげるわ」 それもそれで困るのだが、と反論しようと思ったが、 どうやら幸か不幸か、本日1つ目の目的地に到着してしまったようだ。 「おー、ここだここだ。相変わらず変わってないなー」 街の大通りから、少し路地に入ったところにある小さな喫茶店。 一見してもただの小さな店だし特に雑誌とかに載ったりはしてないんだが、 それでもここのチョコレートパフェだけはどこにも真似できない美味しさだと俺は確信している。 いつか彼女ができたらいっしょに食べよう、と幻想郷に来る前から思っていたのだが、 よもやこんな形でその願いが叶うとは、俺自身予想だにしなかった。 「ここが、最初の目的地?」 「そう言う事。中で何が起こるかは、まあお楽しみって事で」 ドアを開くと、カランコロンという小気味いい音が店内に鳴り響く。 そしてその音を聞きつけて奥からやって来たのは、数年前によく見慣れていた顔だった。 「いらっしゃい……って、もしかして、お前さん……?」 「こんにちは、マスター。お久しぶりです」 「おお、誰かと思えば、やっぱりか!! ここ数年顔を見せなかったから、どうしたのかと心配したぞ? おっ、隣にいるのは、もしかして嫁かい?」 「い、いや、まだそんな関係じゃ……」 「あら、白々しいのね。もう既にあんな事やこんな事もしたというのに」 「ちょっ、レティ!?」 「おー、奥手かと思ったら、意外と積極的だったんだなァ、うんうん」 「いやいやいやいや、マスターまで何言ってるんですか!?」 「ハッハッハ、冗談だよ、冗談」 そんな風に談笑しながら、ふと店内を見渡す。 古いジャズがかかっている店の中には、俺達以外の客は誰もいない。 高校時代によく受験勉強とかで利用してた時は、少なくとも常時2桁は客がいたはずだが。 そんな目線に気づいたのか、それまで元気に喋っていたマスターの声のトーンが落ちる。 「……ちょうどお前さんが来なくなった頃からだな、客が減り出してのは。 そろそろ潮時か、と閉店でもしようかと思った矢先に、お前さんがこうしてふらっとやって来てくれた。 正直言って羨ましくなるような、綺麗な嬢ちゃんを連れてな」 「……マスター……」 「久しぶりだよ、あんなに笑ったのは。やっぱりお前さんがいると空気が違うな。 ……それで、注文はいつものかい?」 「え、あ、はい……覚えててくれたんですか?」 「当たり前だ。常日頃から、『いつかこのチョコレートパフェを、恋人と食うのが夢なんです』、 って聞かされてたら、そりゃあ耳にも脳にも残るわな。よかったじゃないか、夢が叶って」 「ぅ……」 そもそもここに来たのはそれが目的だったから、何も言い返せない。 気がつけばマスターのみならず、レティまでニヤニヤしながらこっちを見ている。 ええいやめろ、そんな目で俺を見るな!!当時の俺は本当に夢見てたんだ!! 「それじゃ準備してくるから、適当にテーブルに座っててくれ」 マスターが厨房に向かったのを見計らって、レティが口を開く。 「あらあら、よかったじゃない、夢が叶って♪」 「……やめてくれ、本当に恥ずかしい……」 冷房が効いた店内にも関わらず、やけに暑く感じるのは何故だろうか。 いや、何となく理由は分かるのだが、認知したくないというか、何と言うか。 そうこうしてるうちに、マスターがお盆にコーヒーとパフェを乗せてやって来た……って、ちょっとストップ。 「……なんですか、そのストローは」 「何の変哲もない普通のストローだが」 「そのY字型のストローが普通だと仰いますかッ!?」 「普通だろ」 「普通ね」 ……あれ、何でレティまでマスターの味方してるんだ? ……ああ、そうか、これが常識に捉われないってやつなのか。 そう言えば、某蒼巫女さんが最近外の世界の常識に捉われなくなったらしいが、 彼女よりも長く幻想郷にいるはずの俺が、常識を捨て切れてなかったとは…… 「……ああ、すいません、普通でした」 「分かったならいい。それじゃ、ゆっくりしていけ」 再び厨房に戻っていくマスターの姿を、俺は恐らく呆けた顔で見送ってたのだろう。 いつまで余所見をしてるのかしら、とレティに抓られるまで、はっきりとした記憶がなかった事だし。 とにもかくにも、数年ぶりのチョコレートパフェにスプーンを潜らせ、口に入れる。 ここでグルメリポーターならとやかく気の利いたセリフをたくさん並べるのだろうが、 生憎と語彙力に乏しい俺の口からは、この言葉しか出てこない。 「……うん、いつも通り美味しい。ちっとも変わってないな」 「へえ、どれどれ……」 つられるようにレティも一口味わうと、ふにゃりと顔を綻ばせた。 彼女の言葉を待つまでもなく、このパフェはレティの口にも美味しさを齎したのだとすぐに分かる。 その後もしばらくパフェをつつくうちに、当然ながら口の中が甘ったるくなり始めるのだが、 口直しのためのコーヒーには、何故か手を伸ばす気にはなれなかった。 やはり心の奥底で『このストロー絶対に普通じゃないだろ、常識的に考えて……』という思考が息づいてるに違いない。 それでも、やっぱり口の中をリセットしたい欲求には抗えない。 レティがパフェになってる一瞬のうちにコーヒーを飲んでしまえば……よし、今だっ!! ガシッ ストローを口に含む、その寸前。 頭にのしかかった妙な感覚の元は、無論レティの手のひらに違いない。 見上げるとそこには、俺の頭を片手で掴みながら、もう片方の手で優雅にパフェを食べている彼女の姿。 その顔には、これ以上ないまでの笑みが浮かんでいた。 「1人で抜け掛けしようなんて、そんなずるい事はさせないわ。 コーヒーを飲みたくなったら、私に一声かけること。いいわね?」 「……ハイ」 この場面でノーと言えないのは、やはり惚れてしまった弱みなのだろうか……そこ、尻に敷かれてるとか言わない。 と言うか、喫茶店でコーヒーを1本のストローでいっしょに飲むとかどんなプレイだよ、これ。 これ以上語ると羞恥で俺が死にそうなので、続きは読者諸兄の頭の中で補完していただけると助かる。 まあ敢えて言わなくても大体何があったかは想像つきそうだしな!!言っておくが丸投げじゃないぞ!!本当だぞ!! 「で、どうだった?」 「とっても美味しかったわ。いろいろな意味で、ね」 「……そうかい、そりゃよかった」 と言うわけで喫茶店で色々と堪能した俺達は、 次の目的地へと向かうべく、市街地を離れてゆくバスの中にいる。 「それで、これからどこに行くの?」 「んー、この旅行において、しばらく拠点となり得る場所かな」 「……あー、何となく予想ついたわ。それじゃ、楽しみにしとくわね」 「あんまり楽しみにされても困るんだがな」 さすがにレティもバスの中では自重してくれてたようで、 割と普通の会話を繰り広げている間に、目的地からいちばん近い停留所へと到着。 ここから更に20分ほど、長く単調な道を歩かないと行けないのだが、 心なしか、レティといっしょに歩いているとその道のりも短く感じるらしい。 あっという間に、その目的地に到着してしまった。 「着いたな、ここだ」 田んぼに囲まれた中にぽつんと点在する大きめの家。 何の変哲もない普通の家だけど、俺にとっては大きな意味を持つ家。 つまりは、ここが俺の実家というわけである。 「へえ……ここが、あなたの生まれ育った家なのね」 「正確にはここで生まれたわけじゃないけどな。えーと、鍵の置き場所は……っと」 庭にたくさん置かれている、様々な植物が植えられている植木鉢。 その右から4番目の植木鉢の下に……おっ、やっぱりあった。 鍵の隠し場所が変わってなかったのはありがたかったとか思いながら、玄関のドアを開け、中に入る。 「……まあ実家だし、一応言っておくか。ただいま」 「お邪魔します」 昔とちっとも変わっていない内観と、そして懐かしい我が家の匂い。 何もかもが、俺が幻想郷へ行く前とちっとも変わっていなかった。 ただ1つ、変わったものがあるとすれば…… 「……静かね」 「そうだな」 この家から、人の気配が一切なくなった事だろうか。 マスターから聞いた話だが、俺の家族は2年ほど前、他の地に引っ越したそうだ。 なんでも父親の仕事の事情とか言っていたが、果たして真意の程は分からない。 俺が幻想入りしてしまったのにも原因があるのだろうか、とか色々考えてると、 「はいはい、懐かしさに浸るのはいいけど、私の事も忘れないでね?」 と、レティに頬をぎゅっと抓られた。 3分ほど彼女から視線を外しただけでこれだからなぁ、まあこれはこれで悪い気はしないんだけど。 なんだかんだで嫉妬するレティも可愛いしな……って痛い痛い痛い!! 「ふーん、それじゃ、私を可愛くするためにわざと視線を外してるってわけね。 それならお礼をしなくちゃいけないわね、どんなお礼がいいかしら」 「ちょっ、分かったからやめろ、ストップストップ!!」 どうやら最後の方の言葉が自分の口から出てしまっていたらしい。 このままだと家の中で猛吹雪を味わう事態になりかねないと判断した俺は、 右隣にいたレティの背中に手を回して、そのまま引き寄せるようにして抱きしめた。 さすがのレティもこれには驚いたのか、手の力を弱めて俺の顔をじっと見据える。 「……償いのつもりなの?」 「これで足りないなら、もっと先に進んでもいいけど?」 「……バカ。私がどうされたいか、分かってる癖に」 「そうだな、悪かったよ」 ゆっくりと近づく互いの顔。 さっきから感じていたレティの甘い匂いが、さらに強いものとなる。 電車の中でも喫茶店の中でもやる事はやったのだが、その時は周りに人がいた。 しかし今、ここには俺とレティしかいない。 ならば、少しくらい激しくレティを味わっても特に問題はないだろう。 向こうも向こうで、きっとそんな事を思ってるだろうし。 そして互いの距離はほとんどゼロとなり、瑞々しく甘いレティの唇が俺のに触れ――― 「はいはーい、スキマ特急便でーす」 ―――るか触れないかのところで、八雲紫の声が辺りに響き渡る。 普通のカップルならこの突然の第三者の声で我を取り戻すのだろうが、 生憎と先頃の糖分異変のおかげで、第三者はあんまり気にならなくなった。 となれば、この後に俺達がとった行動は言わずとも分かるだろう。 「きーっ、私がいるというのに見せつけてくれちゃって。 いいわよいいわよ、荷物はここにおいとくから、どうぞゆっくりしていきなさい!!」 紫の怒ったような声が聞こえた気がするが、そんな事はもはや問題ではない。 再び静けさを取り戻した空間で、何事もなかったかのようにさっきの続きをする俺とレティ。 どうせ2人きりの旅行なんだ、こうやってひたすら愛を貪るのも悪くないだろう。 この旅行中はいつもよりもっと、レティの愛を受け止めてやる事にしよう。 崩落してゆく理性の中で、俺はそんな事を考えていた。 旅行はまだ、始まったばかり。 _____________________ ……あれから、2週間。 俺とレティは外の世界で思う存分楽しんだ。 遊園地では、2人ともまるで子供のようにはしゃぎながら遊びまわり、 水族館では、幻想郷では絶対に見れないその神秘的な光景にうっとりとするレティの姿を見、 そして気がつけば、神無月もあとわずか。 「……レティ、起きろー」 神無月旅行の最終日。 布団の中に包まっていたレティを起こしにかかる。 普段は俺がレティに起こされる側なのだが、今日ばかりは不思議と早い時間に目が覚めた。 まあ今日は遠出する予定だったから、結局早く起きなければいけなかったのだが。 「……んー、やだ~、あと5日寝かせて……」 「せめて分にしないか……っと」 ぐずる彼女の布団を無理やり剥がしとり、その姿を露に……って。 「ん……ふぁ~あ……おはよう……今何時?」 「……その前に、どんな格好で寝てたんだお前は」 「ああ……私にとっては今の時期も暑く感じるから、これくらいじゃないと暑苦しくて寝られないのよ……」 だからと言って下着だけで寝るのはさすがにどうかと思うぞ。 朝っぱらからこんなもの見せられちゃたまったものじゃない。 と言うか見てると色々とやばい気分になるから直視できん!! 「……で、今何時?」 「午前7時3分、幻想郷で言うところの辰の刻ってとこだな」 「ふーん……って、随分と早い時間ね、出かけるの?」 「あー、まあ喜んでもらえる場所かどうかは分からんが、一応出かける」 「あなたとなら、どこへ行ったって楽しいわよ。すぐ出るの?」 「20分後には出たい」 「分かったわ。それじゃ、手早く着替えなきゃね」 そう言うなり、レティは俺の前で着替えを始め……って、待て待て待て待て。 「……おい、まだ俺が目の前にいるわけだが」 「あら、私は別に構わないわよ?あなたには私の全てを見てもらいたいしね」 「そう言う問題じゃなくてだな……やれやれ」 仕方なく回れ右して部屋から出ようとするが、 ドアノブに手を伸ばしたところで、もう片方の腕に触れる柔らかい感覚。 大体何が起きたかは想像がつくが一応振りかえって見てみると、 そこには案の定というかなんというか、俺の腕にしがみつくようにしているレティの姿が。 「もう、旅行中は私から目を逸らさない、って約束してくれたじゃないのよ……」 そう言いながら潤んだ瞳でこちらを見つめてくるレティ。 あー、もう……それ反則すぎるって…… 「……そろそろお前は、羞恥心ってものを知るべきだと思う」 「あら、私だって恥ずかしいって感じる事はあるわよ?」 ……そんなこんなで俺とレティは今、今日の目的地へと向かうバスの中にいる。 あの朝の出来事からどんな風に発展したかは大体想像がつくだろうから割愛、 というか続きを口に出すと間違いなく某紫の魔女が来るから言えん!! 「それで、今日はどこに行くの?」 「んー、この季節に行くには季節外れも甚だしいところかな。 ま、多分喜べると思うぜ。レティにとっては初めての場所だろうし」 「私にとっての初めての場所……ねぇ。大体予想はつくけど、楽しみにしておこうかしら」 まあ俺の口から敢えて言わずとも、目的地は自ずと察しているだろう。 バスの窓から見る事のできる景色の変化は、彼女の目にもしっかりと映っているだろうし。 揺られ揺られて幾時経ち、小さな停留所で下りた俺とレティの目の前に広がる光景は――― 青い青い、大海原。 砂浜にシートを広げて、並んで座る。 吹き付ける潮風はさすがにこの季節だと肌寒く感じられるのだろうが、 不思議とレティと並んで座ってると、その寒さも全く感じられなかった。 「これが、海なのね……」 「どうだ、綺麗だろ? 幻想郷じゃ絶対に見る事のできない光景だしな」 「ええ、綺麗だわ……とっても……」 レティはそう言ったっきり、何かに取りつかれたかのようにじっと水平線を見つめていた。 しばらくはザブンザブンという潮騒の音だけが辺りを支配していたが、 これ以上の沈黙に耐えきれなくなった俺は、ゆっくりと口を開き出す。 「……今回の旅行、楽しかったか?」 「え? ええ、楽しかったわよ」 「……そうか、それならよかった。 実際言うと、俺の決めた旅行プランでレティを満足させられるかどうか、分からなかったからな」 「あら、今日の朝にも言ったはずよ、『あなたとなら、どこへ行ったって楽しい』ってね。 正直言って今回の旅は、あなたと過ごしてきたどんな時間よりも最高に楽しい事ばかりだったし」 そう俺に言うレティだが、その瞳にはどことなく憂いが感じられる。 声のトーンも無理に明るくしている感じで、彼女が心の底から楽しんでいたという風には見受けられない。 もしかしたら……と思うと申し訳ない気持ちでいっぱいになり、気がつけば俺は彼女に謝っていた。 「……何か、不満だったのか?もしそうなら謝る。すまなかった」 「な、何で謝ってるのよ……十分楽しかった、って言ってるじゃない……」 「……泣きそうな顔で言われても、俺はその言葉を意味通りに受け取れないんだけど。 何かあるなら言ってほしい。その方が俺もレティもスッキリするだろうし」 「……………」 レティはしばらく黙っていたが、やがて意を決したかのように、 ぽつり、ぽつりと、ゆっくり喋り始める。 「……旅行が楽しかったのは、本当。これは紛れもない事実よ。 喫茶店であなたと食べたチョコレートパフェも美味しかったし、 その後に連れて行ってくれた遊園地って場所も、おもしろい乗り物がいっぱいあって楽しかった。 幻想郷ではできないような体験があなたとたくさんできて、私は本当に嬉しかった。けど……」 「けど?」 「……数日前あたりからずっと、私の中の何かが、 『このまま旅行を終わらせちゃいけない』って言ってるような気がしてて。 それが何なのかは私にも分からない。ただ、これだけは確実に言えるわ。 ……私はまだ、完全には満たされてない」 「……そうか、」 うっかり『それは重畳』って言いそうになったのを必死で堪える。 この状況で軽い調子でその言葉を言ってしまうのは自殺行為に相当するし、 何よりこの先のサプライズをここで明かしてしまうわけにはいかない。 レティが物足りなく感じる原因を一瞬で解消できそうなほどだと自分では考えているが、果たして効果のほどは定かではない。 それでも、この外界旅行のフィナーレをこのプランで締めくくるつもりでいるから、実行するしかあるまい。 「……なあ、レティ」 「?」 「もう1つ、行きたい所があるんだが。……付き合ってくれるか?」 「……あなたとなら、どこまでも」 旅行のフィナーレを飾るその場所とは、鬱蒼とした森の中にある小さな教会。 俺が小さい頃から無人で、よく友人と忍び込んでは思う存分遊んでいたものだ。 「……ここも変わってないな、昔のままだ」 「ねえ、ひょっとして……」 レティも俺の意図を察したらしいが、それを制して教会の扉を開く。 あれから十数年、手入れなど全くされていない教会の内部はさぞ荒れ果てて―――はない。 埃など何一つ舞っていない床を、ステンドガラスから差し込む木漏れ日が照らす。 まるでいるはずのないシスター達が丁寧に掃除したかのような道を歩きながら、 俺は教会の片隅にある、小さな部屋の扉を開けた。 「あら、いらっしゃい。待ちくたびれちゃったわよ」 「すみません、待たせちゃって」 「あ、え、な、何であなたがここに……?」 レティが驚くのも無理はない。 そこにいたのは、八雲紫。俺は彼女に、この教会でやるべき事のためにいくつかの事を頼んでいた。 教会内部が綺麗になっていたのは、そのうちの1つである。 「全く、こんな事に私をこき使うなんて、代償は高いわよ?」 「でもこんな事を頼めるのは、あなたしかいませんでしたし。 代償云々の話はこの際おいといて……頼んでおいたものは、ちゃんと用意できてます?」 「もちろんよ、このヴェールの向こう側にあるわ。 せっかくだし……あなたから、彼女に見せてあげたら?」 「……言われなくても、そうする予定です」 俺はつかつかと歩み寄り、部屋の奥にかけられてあった紫のヴェールを取る。 その奥にあったのは―――純白のドレス。 「……!!!」 「……指輪は、こちらで既に用意してある。 もしよければ、だが……教会の入り口に、それを着てやってきてほしい。 ……お前がどんな答えを出そうと、そこで待ってるから」 部屋を出て扉をガチャリと閉めた瞬間、目の前に紫の姿が。 「あんな事言っちゃって……随分自信を持ってるのね」 「自信なんて、ありませんよ。断られる可能性も十二分に想定してあります。 ……ですが、もし彼女があの姿で僕の前に現れてくれたら、その時は……」 「分かってるわ。妖怪の賢者として、あなた達の門出を祝福してあげましょう」 「ありがとうございます」 別の部屋で俺自身も着替えを済ませた後、予め言っておいた場所へと向かう。 果たして、そこには既に“あの姿”の彼女がいた。 「……バカ、卑怯よ。 あんな事されて、断らないわけ、ないじゃない……」 「……綺麗だ、レティ……」 ウエディングドレスを身に纏ったレティの姿は、俺がこれまで見た彼女のどの姿よりも、美しく見えた。 小さな教会の中、紫に神父の役を務めてもらって、2人きりの結婚式。 「……汝、レティ・ホワイトロック。 この男性を夫として、未来永劫支えて行く事を誓いますか?」 「……誓います」 「……汝、○○。 この女性を妻として、未来永劫愛して行く事を誓いますか?」 「……誓います」 「……では、指輪の交換を」 この日のために買った指輪は、彼女の瞳の色と同じ大きなサファイアがついたもの。 その指輪をレティの薬指にはめると、彼女はヴェールの向こうから潤んだ瞳で俺をしっかりと見つめた。 「……誓いの、キスを」 そのヴェールを手でゆっくりと脱がせ、彼女の顔を露にする。 今まで何十回と口付けは交わしてきたし、ただ唇を重ねるだけの優しいキスだったが、 この時ほど心の中に幸せが満たされたキスは、未来永劫存在しないだろう。 永遠とも思える時間の中で、俺はただ、レティだけを感じていた。 そして、外の世界で過ごす最後の夜。 布団が敷かれた暗い部屋の中で、見つめあう俺とレティ。 今までは越えてはならない一線と言う事でなるべく避けてきたが、 晴れて夫婦になった今となっては、むしろ越えなければならない一線。 「……旅行、満足できたか?」 「うん、とっても。これ以上ないってくらい幸せ、だけど…… ……そう言えば、まだあなたの口から、プロポーズの言葉を聞いてなかったわね」 「……あー、そういえば…… ……順番は違ってしまったが、言わせてくれるか?」 「ええ、いいわ。あなたの口から聞きたい」 「……レティ。お前の事を誰よりも愛している。 これからもずっと、いっしょにいてくれ……結婚しよう」 「……喜んで。あなたといっしょに、幸せな家庭を築きましょう」 そうしてゆっくりと、互いの服は互いの手によって脱がされていく。 これから何をするのかは、無論彼女も了承しているだろう。 やがてお互いに一糸纏わぬ姿になると、レティは布団の上に横たわった。 「……私の初めて、もらってくれる?」 「ああ、喜んで。……不束者だが、よろしく頼む」 そうして俺とレティはゆっくりと口付けを交わし――― ……とまあ、この話はここで終わり。 あの夜に起きた出来事についてここで長々と語る気はないし、 旅行が終わって幻想郷に戻ってきた後も、俺とレティは以前と変わらぬようにイチャイチャしていた。 ただ、旅行前と1つ、変わった事があるとするならば。 レティの薬指に、蒼く輝くサファイアがはめ込まれた指輪が輝くようになった事、だろうか。 新ろだ730,764,802 ───────────────────────────────── 「トリック オア トリート?」 「は?」 レティにふとそんな事を言われたのは、 神無月旅行から帰ってきた日の翌日だったと思う。 言葉の意味が一瞬だけ飲み込めずにそちらの方を見た俺は、思わず絶句してしまった。 「……レ、レティ? 何だその格好は?」 いつもの青と白を基調にしたゆったりとした服ではなく、 彼女が纏っていたのは、胸元がぱっくりと開いた漆黒のドレス。 そして背中には某吸血鬼や某小悪魔のソレを模ったような黒い翼に、 極めつけはどこでどうやったのか、左右にふりふりと揺れる尻尾。 つまるところ、レティが小悪魔みたいになってたと言えば飲み込みは早いだろうか。 「うー、だ、だって……今日はハロウィンだって、あのスキマ妖怪が……」 赤面しているレティにそう言われて、俺はようやく状況を理解した。 ああ、幻想郷では今日がハロウィンの日に相当するのか。 ……というか、幻想郷にハロウィンの習慣があったのが驚きだ。 まあ某吸血鬼が辺り構わずカリスマを撒き散らかしてるわけだし、当然といえば当然かもな、 とかそう言う事を考えてると、 「……そ、それで、どうなのよ!? 悪戯されたいのか、それともお菓子をくれるのか、はっきりしなさいよ!?」 そう大声で叫ぶレティの顔は、既に赤より紅い。 このまましばらく何も答えずに今の彼女の様子を眺めるのも悪くはなかったが、 あまりにほったらかしにしてると溶けちゃいそうなので、そろそろ冷ましにかかるか。 「いやいやレティ、お前も別にお菓子貰って嬉しくはないだろう。 『お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ』とは言うけど、俺は別に悪戯されてもいいぜ?」 「……もう口を聞いてあげないような悪戯でもしてやろうかしら」 「……それは困るな。かと言ってさっき言った通り、お菓子あげてもどうしようもないし…うーん」 しばらく思案した後、俺はあるひとつの結論にたどり着く。 『トリート』という単語には『施し』という意味もあったはず。 ならば、お菓子ではない別の何かをレティに施してやればいいわけで。 「よし分かった。ちょっとこっち来てみ」 「あ、あら、何かくれるのかしら……」 なおも恥ずかしがってるレティを近くに歩み寄らせると、 俺は彼女を優しく抱きしめ、そのまま唇を奪う。 こちらから半ば強制的にキスしたにも関わらず、レティは俺の唇をすんなりと受け入れ、 むしろ向こうから積極的に舌を絡めようと、俺の口の中で舌を暴れさせた。 しばらくそうしていた後、唇を離して改めて見るレティの顔は―――案の定というかなんというか、 キスする前より更に赤みが差していたようだったが、構わず俺は言葉を続ける。 「……これで、悪戯してくれないよな?」 「そうね……悪くはなかったし勘弁してあげようかしら、と言いたいのだけれど」 気がつけば、俺はレティに押し倒されていた。 顔だけでなく瞳にもどことなく赤みが差している、と思うのは果たして気のせいか否か。 ついでに、吐息も荒くて表情もどこか艶っぽい。 「この格好のせいか、いつもよりあなたが欲しくなっちゃってね…… うふふ、まあハロウィンの悪戯だと思って、素直に享受してちょうだい?」 あー、もう……好きにしてくれぇ。 新ろだ808 ───────────────────────────────── それは音もなく、突然やってくる。 「……あら、雪ね」 「おー、いよいよ冬の到来か」 空にひらひらと舞う白い結晶。 手に降り積もる冷たさと柔らかさが、俺達に冬の到来を優しく教えてくれる。 「この前は冬の訪れが待ち遠しくないとかなんとか言っちまったが…… こうして改めて冬になってみると、やっぱり嬉しいものだな、うん」 「あらあら、嬉しいのは私にこの前の続きをしてもらえるからじゃなくて?」 「なっ……いやいやレティ、決してそんな事だけとは限らないからして」 「つまり、期待してた面もあるってわけね、うふふ」 「うっ……」 クスクスと笑うレティ。 全く、誘導尋問と人を誘惑するのが得意な雪女様だよ、お前は。 ……悪い気はしないけどな。 「それにしても、やっぱり冬はいいものだわー。 春の桜も夏の花火も秋の紅葉も、もちろん綺麗だったけど、 やっぱり冬の雪ほど綺麗なものはないわね」 「そうか? 俺はもう1つ、今レティが言った以上に綺麗なものを知ってるがな」 「あら、それは是非とも教えてほしいものね。一体何なのかしら?」 「知りたいか?」 「ええ、もちろん」 そうやってレティの耳に何かを囁いてやると、案の定というか何というか、 雪のように真っ白な彼女の肌は見る見るうちに赤みを帯びて行く。 「……バカ、何言ってるのよ……」 「間違ってはないと思うがな。どこかおかしな点でもあったか?」 そう言ってる俺の顔には、きっと意地の悪い笑みが広がってるんだろうなぁ。 裏を返せばこの笑みは、さっき囁いた言葉に対する照れ隠しの意味が多分に含まれてる、って事なんだけど。 「……でも、そうね。確かに間違ってはないと思うわ。 恐らくあなたが言ったそれは、これから冬が深まるにつれてさらに綺麗になるんじゃないかしら」 「ははっ、そうか。そいつは楽しみにしとかなきゃな」 「……しかしまあ、早いものだな。 今日でようやく、恋人と1年中いっしょに過ごしたいという俺の夢は達成されたわけか」 「ええ、そうね。そしてそれは、私の夢でもあるわ。 春から夏にかけては本当にしんどくて、このまま地下の氷室で眠れたらどんなに楽だろうか、と何度も思ったりした。 でもそうしなかった理由は……言わなくても、分かるわよね?」 「うん、察しはついてるけど……レティの口から、聞きたいな」 俺がそう言うと、レティは再び顔を赤らめながら小さく何かを呟いた後、 俺にしか聞こえないような声で、こう言った。 「……あなたの事が好きだから、に決まってるじゃない。 恥ずかしいんだから、あんまり言わせないでよ、もう……」 言った後にさらに頬を紅潮させてるのを見ると、 今すぐにでも溶けてなくなりたいほどの恥ずかしさを感じているのだろう。 しかし、それは面と向かって言われた俺も同じであって。 恥ずかしさが募ってきた俺は気がつけば、レティをぎゅっと抱きしめていた。 「……全くもう、可愛いやつだよ、お前は。 俺も大好きだ、レティ。この世界の誰よりもずっと、お前を愛してる」 「……私も大好きよ。これまでも、そしてこれからもずっと、ね」 そうしてそのまま、どちらからともなく互いに顔を近づけていき、そして――― 「……存外、激しかったわね」 「……何がだ」 「あら、ここで言えるとでも思ってるの? まあ言わなくてもある程度想像はつくと思うけどね、うふふ」 「……………」 「あなたが積極的に求めてくるから、私も燃えてきちゃった。 今夜は寝かせないから、覚悟しなさい?」 あーもう……好きにしてくれぇ。 新ろだ879 ───────────────────────────────── 「……なんだこれ」 その日の文々。新聞の一面記事を見て、俺は唖然とした。 『激録!! 幻想郷に訪れたベビーブーム』と称したその記事は、 子供がいる人妖カップルに文がこれでもかと言うほど取材を行い、 あまつさえこれから子供を作ろうかというカップルの事まで、 細やかに(ただし新聞に載せられるギリギリの範囲までだが)書かれているという始末。 その中には当然、俺とレティの事も書かれており、 『神無月旅行の最終日に晴れて結ばれた注目のカップルですが、 その後はさっぱりそう言った噂を聞きませんね~。 あや~、冬だからもうちょっと活発になるかと思ったんですが』 などと言う、文自身のコメントまで掲載されてあった。 「……………」 半ば呆れ顔になりながら俺は新聞を畳む。 こんなのを新聞で書かれたら恥ずかしくて外も歩けなくなるってのを、 果たしてあの暢気な新聞記者は分かっているのだろうか。いや分かってない。 しかし同時に一理あるな、とも思う。 と言うのも、晴れて結ばれたあの日に、俺とレティは確かにいっしょになった。 どう言う意味でかは勘のいい人なら分かりそうなので俺の口からは話さないがな。 しかしその後はなんというか、普通にイチャイチャはしてるものの、 そういう一線を越えたような事は今日までないような気がする。 「子供……か」 子供。 愛し合う2人の愛の結晶といっても過言ではない存在。 カップルなら誰しも喉から手が出るほど欲しいが、そうするためには…… いやいや落ち着け俺、今はまだ朝日は昇りきってない時間帯。 そろそろレティが朝ご飯を作り終えた頃だ、何食わぬ顔で朝食の席につかないと一瞬で悟られかねない。 そうなったが最後、この家の半径500メートルくらいが砂糖塗れになる事必至である。 込み上げてくるよく分からない感情を強引に抑え込み、俺は朝食を食べにリビングへと向かった。 「話があるんだけど」 レティが唐突に喋りかけてきたのは、件の朝食がほぼ消えかけた頃だっただろうか。 食後の余韻に浸っていた俺はお茶を啜りながら、レティの言葉を聞く事にした。 「話って?」 「今日ね、夢を見たの」 「ほうほう、どんな夢だ?」 「私とあなたとの間に子供ができる夢」 「ぶっ!!」 思わずお茶を吹き出しそうになり、そのせいで激しくむせ返る。 あの新聞を見た直後だったからピンポイントすぎてすごく驚いたが、 何とか熱いお茶にむせ返った風を装って、続きを促す。 「……そ、それで?」 「子供は女の子だったわ。私とあなたの面影をしっかりと残してて、とっても可愛かった。 そして、3人とも皆、幸せそうに笑ってたの」 「……そうだろうな。子供が生まれて嬉しくない夫婦なんていないだろうし」 「うん……そこで、本題に入るんだけど」 あー、この展開は、まさか…… 「……子供、欲しいって思ってる?」 やっぱりな。 ここでの返答次第によっては強制打ち切りになる可能性も否定できんので、 あえて慎重に言葉を選びながら、俺は彼女の問いに答える事にした。 「もちろん、子供は欲しいに決まってるさ。 だけど、そんなに急ぐ必要はないんじゃないかな」 「だけど……あなたと私じゃ、寿命の差が……」 「寿命の差ぐらい、どうとでもなるさ。 なんてったって俺達は、愛の力で季節の垣根を取り払ったんだ。 蓬莱の薬なり妖怪になるなり、手はいくらでもある」 「……あなたは、それでいいの?」 「構わんさ。レティと永遠にいられるなら、俺は何だってやる。 『夜摩天より力があればどうとでもなる』とは八雲紫の言葉だが、 レティを愛するという力なら、他の誰にも負けない自信はあるからな」 「……もう、何言ってるのよ。 でも、ありがとう……とっても嬉しいわ」 何やら思いっきり恥ずかしい事を口走った気がするが、 レティの笑顔が見られるならそんな事は枝葉末節である。 愛があればどんな苦しい事も笑顔で乗り切れる、そう確信しているからこそ、 目の前にいる最愛の人とはできるだけ長くいっしょにいたい。 そしてそれはレティも同じ考えのはず。 「愛してるぜ、レティ。いつか、俺達の子供もできるといいな」 「ええ、私も愛してるわ。絶対にできるわよ、私達の子供」 「でも」 「?」 「時間はあるとはいえ、やっぱり早く欲しいとは思わない?」 「……まだ朝日が昇ってから少ししか経ってないぞ」 「逆に言えば、誰も邪魔しに来ない時間帯とも言えるわ。 ふふふ、今日という時間はたっぷりあるし……いっぱい、愛してちょうだい?」 あーもう……好きにしてくれぇ。 新ろだ857 ─────────────────────────── 「すっかり冬らしくなったわね」 「全くだ、本当はまだ始まったばかりって言うのにな」 師走に入り、暦の上でもいよいよ本格的に冬を迎えた幻想郷。 昨日から降り続いている雪は地面に白いカーペットを敷きつめ、 俺とレティが歩を進める度に、辺りに小気味いい音を響かせる。 「しっかし、例年より雪の降る頻度が多いように思うが。 やっぱりこれもレティの能力が関係したりしてるのか?」 「そう言う事になるかしらね。 寒気を操る事ができるのだから、それを一箇所に集めて雪を降りやすくさせるくらいは造作もないわ。 ……もっとも、私的には、これでも力をセーブしてるつもりなのだけど」 力を抑えてこの大雪なら、本気を出せばそれこそ幻想郷を氷河期に陥れる事など容易そうだ。 さすが冬の黒幕だな、とかそんな事を考えていると、 「そんなに大それた事はできないわよ」 と、肩を竦めながら言うレティ。 ……あれ、うちの嫁さんっていつの間に心読めるようになったっけ? 「長くいたから、ある程度の事は言わなくても伝わってくるわよ。 と、言うか……時々考えてる事が口から出てるから、気をつけなさい?」 「えっ!!?」 道理でこちらの思考が向こうに筒抜けになるわけだ。 確かに思い返してみれば、思った事をつい口にして彼女に頬を抓られた回数は既に2桁を数える。 ……綺麗だの可愛いだの、言ってる事自体は別に褒め言葉なのにな。 「バカ……な、何言ってんのよ……」 顔を赤らめるレティ。 ……しまった、さっきの思考も口から出てしまってたか。無意識って怖いね。 以後は気をつける事にしよっと。 そんなこんなで雪中の散歩を続けていると、俺はふと気づく。 「……あれ?」 「どうしたの?」 「いや……この道って、もしかして、って思ってさ」 「……あー、なるほど。思い出したわ」 人里へと続く、長い長い一本道。 それは1年と1週間前、その年の冬を迎えてからの初デートの時に通った道だった。 空に舞う、ダイヤモンドより美しく輝く雪の結晶。 よどんだ曇り空はさながら、その白さを際立たせるキャンパスといったところか。 まるで何もかもがあの日のまま、俺達を待っててくれていたかのよう。 天も地も白銀に包まれた中を、俺とレティはあの日と同じように歩く。 「何だかいろいろ思い出してきたわ。 あの時は確か、私達の別れ際がどうとか話してたんだっけ」 「そうだな。『私はいつでもあなたの中にいるから』ってセリフ、今思っても相当アレだよな」 「も、もう、その話はしないでよ……思い返すだけでも相当恥ずかしいんだから…… でも安心なさい、別れ際に相当泣いてたあなたの姿もしっかりと覚えてるから」 「ぐ……い、いや、あの時はまだ気持ちの整理がしっかりついてなかったって言うか……」 「ふふっ、お互い様ってわけね」 あの時に交わしてた会話も思い出してしまい、双方見事に赤面する。 そのまましばらくは何も言わずに歩いたが、やがてレティが口を開いた。 「……でも」 「?」 「あの時大泣きしてたあなたを見て……私、嬉しかったんだ。 ああ、こんなにもこの人は私の事を思ってくれてるんだな、って」 「レティ……」 「……次の冬に再会できた時、あなたはすっごく嬉しそうだった。 でもね、本当は私の方が、ずっとずっと嬉しかったの。 それこそ、あなたの顔を見た瞬間に胸の中で泣いてしまいそうだったくらい」 「別れの時に泣けなかった分と、会えない間の寂しさ……ってわけか。 考えてみりゃ、あの頃の俺達は相当理不尽で強力な力に制約されてたんだな」 「ええ、そうね。でも……」 繋がれているレティの手が、俺の手をぎゅっと握りしめてくる。 「今じゃ私達を縛りつけてるものは、何もないとまではいかなくても、ほとんどなくなってるわ」 「ああ、そうだな。季節という垣根は取っ払った。 種族という壁に関しても、ぶち壊すなり乗り越えるなり、その手段はいくらでもある」 「分厚くて高い壁よ?」 「構わないさ。レティのためなら、な」 それは1週間前、件の記念日にも誓った言葉。 誓い直すには些か早い気もするが、かと言ってあまり遅いのも問題だろう。 お返しとばかりにレティの手を握り返す。もう二度と離すものか、とばかりに。 冬はまだ、始まったばかりである。 「そう言えば」 「?」 「あの日はこの後、謎の風が吹いて抱きしめ合う形になったんだっけ」 「……そんな事もあったな、って、おい、レティ!?」 「ふふ、風がなくたってあなたを抱きしめる事くらいはできるわ。 さてこの後、あの時の私達は一体何をしたのかしらね……知りたい? 知りたいわよね」 あーもう……好きにしてくれぇ。 新ろだ899 ─────────────────────────── その日、俺は寝起きから自分の目を疑う羽目になった。 「……夢でも見てるのか、俺は」 ぼんやりとした視界に映るのは、何やら赤い衣装を纏った女性の姿。 いつもの青と白を基調にした服ではないから、その女性がレティだと認識するのに数十秒かかった挙句、 ようやく絞り出した言葉がさっきの言葉だった。しかも相当間の抜けた声で。 「酷いわ……今日がどんな日か知らないの?」 覚醒しきってない頭で、必死に考える。 そういえばこのレティの格好、確かにどこかで見覚えがあるようなないような。 しばらく記憶の海を探し続け、やがて1つの答えにたどり着く。 「クリスマスか」 「正解。という事は、私のこの恰好も分かるわね?」 「……ああ、なるほど。そう言う事か」 「そう言う事よ」 悪戯っぽく笑うレティ。 ハロウィンの時然り、いつもはこんな恰好をするのに若干の羞恥心を見せる彼女だが、 今回に限ってはそのような事は全くなく、むしろ普段から着慣れているような感じさえ見受けられる。 いやまあ、見えそうで見えない絶妙な長さのミニスカートやら、 冬だというのにやけに胸元が開いた服やら、彼女が恥ずかしさを感じるような箇所はいくらでもあるわけだが。 クリスマスの魔力って怖いね。 「で、今何時? 外がやけに暗いみたいだけど」 「そうね……午前2時、草木も眠る丑三つ時ってとこかしら」 「……OK。レティ、とりあえず落ち着こうか。 いくらクリスマスだからと言って気が流行り過ぎてはいないかね」 「あら、流行っちゃダメ?」 「いや、ダメとかそういう問題じゃなくて、別にレティ1人が気を流行らせる分にはいいんだが、 俺は人間だから寒いのにも眠いのにも苦手なわけで、そう言う事だからおやすみ」 言うだけ言って再び布団に潜り込む。 正直レティに悪い気もしたが、今回だけは情けなくも布団の暖かさに負けてしまった。 ちょっと怒ってるかな、とか思いつつも、そのまま心地よい眠気に誘われつつうとうとと…… 「あーあ、残念ね。ちゃんと起きてきたらプレゼントあげようと思ってたのになー」 ……していたのに、その言葉に一瞬で目が覚めてしまった。 毛布から顔を出して、レティの顔を覗き込む。 「……プレゼント?」 「そうよ。今日はクリスマス、私はサンタクロース。 だから、言う事を聞くいい子にはプレゼントをあげるってわけ。 で……どうするの? 欲しくないんだったらそのままでもいいけど?」 子供扱いされるのは少々アレだったが、それでも『レティからのプレゼント』という誘惑に完全に敗北してしまったらしい俺は、 毛布を跳ね除け、体を起こし、何故か正座までして彼女の顔を見据える。 どうやらここまで無意識の行動だったらしく、気付いたと同時に恥ずかしさが込み上げてくるが、もう後の祭り。 「あらあら……そんなにプレゼント欲しいのかしら。しょうがないわね」 そんな俺の様子を見て満足したのか、レティはその悪戯っぽい笑みを浮かべながら、 未だ正座し続けている俺の体に腕を回し、そのまま抱きしめてくる。 「それじゃ……メリー、クリスマス」 そしてそのまま、彼女に唇を奪われた。 ……プレゼントって、こう言う事か。ある程度予想はしてたけど。 まあ、確かに最高のクリスマスプレゼントだな、とかそんな事を思いつつ、 彼女の『プレゼント』に応えるかのように舌で口内を蹂躙し…… ……午前3時、ようやく理性の復旧完了。 レティとキスした後の1時間の記憶がすっぽりと抜け落ちている。何があった。 「……で?」 「何よ?」 「俺をこんな時間に起こした目的は他にもあるんじゃないのか、って事」 「あら、バレてたのね」 「どのくらいいっしょにいたと思ってるんだよ」 「それもそうね、うん。実はね……」 レティの話を大体まとめるとこうだ。 師走に入ったあたりに、八雲紫にこんな話を持ちかけられたらしい。 曰く、『クリスマスの日に、サンタクロースの役割を果たしてもらえないかしら?』と。 理由を聞いてもどうせ単なる気紛れだろうから聞かない事にしたらしいのだが、 とにかく紆余曲折あって、レティはその提案を受け入れたってわけだ。 見れば、彼女の後ろには非常に大きな袋が。恐らくあの中にプレゼントが入ってるのだろう。 「ふむ……経緯は分かった、が…… 何で受け入れたんだ? 別に断ってもよかっただろうに、そのくらいの提案」 「それに関してなんだけど……はい、これ」 そう言ってレティに手渡されたのは、茶色っぽい着包み。 とりあえず着替えてみたが……その行動がどんなに愚かしいのかを、俺は着替え終わった後に知る羽目となる。 「……えーと……」 「うふふ……似合ってるわよ、その格好」 頭から生えた2本のギザギザな角。 自分の姿を見なくても、俺がトナカイの装束を纏っているのは容易に理解できる。 レティはよほど俺がおもしろいのか、時折笑いを堪えるように顔を背けている。 ええい、俺だってすっごく恥ずかしいんだから笑うな!! 「……大方、この恰好が見たいのもあるから引き受けたってのもあるんだろ」 「あら、よく分かったわね」 「……分からない方がおかしいだろ、むしろ」 「ふふ、そうね。それじゃ……行きましょうか、トナカイさん?」 「はいはい……精一杯お供させてもらいますよ、我が愛しきサンタクロース」 俺がそう言うと、レティは頬を染めながらこちらに手を差し伸べてくる。 まあこれで一矢報いたって事にして、溜飲を下げるとするか。 俺は彼女の手を取り、雪がちらつく夜空の元へと歩みを進めていくのだった。 「これでよし……っと。お疲れ様」 そして、午前6時。 ようやく幻想郷中にプレゼントを配り終えた俺とレティは、 すっかり空っぽになった白い袋を持って再び家へと戻る。 寒さと雪ですっかり冷え切ってしまったはずの俺の体だが、不思議とそう言うのは感じない。 それが何故かは……わざわざ説明する必要はないだろう。 くれぐれも言っておくが、あのトナカイの装束の防寒機能が素晴らしかったからではないからな!! 「ああ、お疲れ。……にしても、大変だったな」 「そうかしら? それほど大変じゃなかったけどね、むしろ楽しかったわ」 「まあ……そうだな、楽しかった。トナカイ役ってのはちょっと癪に障らなくもないが」 「あら、じゃあ来年はあなたがサンタクロースになる? 付け髭と白髪のカツラとか付けて? それもいいかもしれないわね、ふふっ」 頭の中でその光景を想像したのか、またクスクスと笑い始めるレティ。 ……トナカイとサンタクロースと、どっちがマシなんだろう。 「ああ、そうそう、忘れてたわ……はい、これ」 「?」 今度は白い小箱を手渡される。 開けてもいい? と聞くと、いいわよ、と返されたので開けてみると、 そこには蒼く輝くサファイアがはめ込まれた指輪。 ちょうど、レティが薬指にはめている指輪と全く同じものだ。 「私がこの仕事を引き受けたもう1つの原因が、紫にこれをもらったから。 やっぱり……あなたとお揃いの方がいいもの」 「レティ……ありがとう。最高のクリスマスプレゼントだ」 「ふふ、どういたしまして」 嬉しさと愛おしさで俺は思わずレティを抱きしめる。 しばらくはそうして彼女の柔らかさと暖かみを感じていたが、 やがて夜が白み始めると、レティの方から抱擁を解いてきた。 「レティ……?」 「そんな残念そうな顔しないの。サンタとトナカイとしての関係はもう終わり。 一晩ゆっくり寝て……クリスマスは、素直に祝いましょう?」 「……そうだな」 もう一度、抱きしめられる。 そうだ、何せクリスマスはあと半分以上もある。 無理にここでその時間を貪る必要はない。ゆっくり楽しめばいいさ。 「愛してる、可愛い可愛いサンタクロースさん」 「私もよ。私の最愛のトナカイさん」 そうしてどちらからともなく、俺たちはゆっくりと唇を合わせる。 早くも今日2回目の口付けだが、せっかくのクリスマスだ、何も問題はない。 これからひと眠りして、目覚めたらまた愛を確かめ合うんだろうしな。 まあ……その時は今のような格好ではなく、ちゃんといつもの格好に戻すが。 次に目が覚めた時、俺とレティはひとつの布団の中で互いに抱きしめ合っていた。 隣ですやすや寝息を立てている彼女の服は、いつもの青と白を基調にしたソレ。 と言う事は、当然俺の格好もあのトナカイの着包みではなく、普段の格好そのものである。 一瞬あれは夢かとも思ったが、あの時最後に手渡されたサファイアの指輪は、間違いなく俺の薬指に輝いている。 お返しを兼ねて、夜のディナーの時にでも俺からのクリスマスプレゼントを渡すとするか。 「メリークリスマス、レティ」 ちゅっ、と彼女の頬に軽い口付けを落とし。 そうして俺は再び、心地よい暖かさの中で眠りについていった。 新ろだ932 ─────────────────────────── 本日三度目となる目覚めを迎えたのは、正午を少し過ぎたあたりだった。 せっかくの聖なる日にここまで惰眠を貪ってたのも俺ぐらいだろう。何とも情けない。 隣で寝ていたはずの彼女の姿は、当然の事ながら既にない。 まだ眠たい目を擦りながらキッチンへ向かうと、果たしてそこにはいつものレティがいた。 「おはよう、レティ」 「あら、おはよう。随分早く目が覚めたのね」 「もうかなり時間は経ってるがな」 「いいのよ。最悪夕暮れの起床を想定してたし、そう考えれば早いわ」 「……さいですか」 テーブルの上に置かれていたサンドイッチ―恐らく俺の昼食用に彼女が作ってくれたものだろう―に手を伸ばしながら、 さすがにそこまで空気を読めない奴じゃなくてよかったと、心の中で安堵。 新たな料理を作っていたのか、いつもの青と白の服の上から純白のエプロンを纏ったその姿に、改めて心を奪われる。 付き合い始めてから様々な格好のレティを見てきたが、どれも彼女によく似合い、 そしてその度にまた一つ、俺は彼女の事が好きになっていく。 「……もう、そんなに見つめないでよ。恥ずかしいじゃない……」 「あ……ごめんごめん、つい」 照れ隠しに顔を背けるレティ。 そう言うところも可愛いよ、などと言ったら、現在作ってるであろう料理に大幅な支障が発生するだろうから、 心の中でそっと言う事にする。とっても可愛いよ、レティ。 「それで、何作ってるんだ?」 「晩ご飯の時のお楽しみよ。だから、今はだーめ」 「ん、そっか。それじゃあ期待して待ってるよ」 「ええ、期待に添えられるように頑張るわ」 そうは言いつつも、後ろに見えるキッチンの様子から、 今晩のクリスマスディナーが何となく想像できてしまうのはご愛嬌。 俺の推理が間違ってなければ、今日のディナーは彼女お得意の……っと、答え合わせはまた後で。 生憎今日はちょっと行かなきゃならないところがある。 「それじゃ、ちょっと出かけてくる」 「あら……別にいいけど、あまり遅くならないようにしてよ?」 「分かってるさ、すぐ戻ってくるよ。 せっかくのクリスマスだ、レティといれる時間はできるだけ長い方がいいしな」 サンドイッチを食べ終えて玄関から外に出ようとすると、彼女に手を掴まれた。 「絶対にすぐ戻ってくるって……約束、してね?」 「……もちろん」 やや潤みを帯びたレティの瞳をしっかりと見つめながら、唇に軽くキスを落とす。 何か約束をする時は決まってこうするのが、俺とレティとの暗黙のルールとなっている。 ちゃんと約束を守った時のみ、この口付けの続きをする…… どちらから決めたのはもう定かではないが、とにかくこうして以来、俺達の間で約束が破られた事は一度もない。 前々から約束を破る事なんて滅多になかったけどな。 「じゃ……いってきます」 「いってらっしゃい」 未だ雪がちらつく外へと歩を進める。 さて……約束した以上、手早く用事を済ませないと。 「いらっしゃい……って、何だ君か」 「こんにちは、霖之助さん」 というわけで、俺が向かったのは香霖堂。 扉を開けた時に本を読んでいたらしき店主は、一瞬だけこちらを一瞥すると、 机の下で何かをパタン、と閉じ、後ろの棚をごそごそし始める。 「頼んでいた例のもの、まだ残ってますか?」 「ああ、その点については大丈夫だよ。 君が依頼してきた時から、魔理沙にも盗まれないように厳重に管理してたから。 何しろ彼女は普通に店頭に置いてあるものはところ構わず持っていくからね……ちょっと待っててくれ」 店主が探し物を見つけ終わるまで、俺は広くはない店内を見て回る。 昔懐かしいゲーム機、誰のものか分からない携帯電話、その他もろもろ。 ここと無縁塚だけは、俺が元いた外の世界の雰囲気がわずかばかり漂っている。 今まではここに来るたびに軽いホームシックを起こすからあまり訪れたくなかったのだが、 レティと出会って以降、特にあの神無月旅行の一件からは特に、それを感じなくなった。 彼女とこの幻想郷でずっといっしょにいたいという気持ちが、日を増すごとに強くなったからだろう。 「お、あったあった」 そんな事を思ってるうちに、どうやら店主の探し物が終わったらしい。 少々埃まみれになった頭を払いながら俺に差し出したのは、赤と緑の包装紙で包まれたプレゼント箱。 この日のためにと3週間前から予約してたのだが……こんなサービスがついてるとは計算外だった。 「察するところ、クリスマスプレゼントだろうと思ってね。 僕の方で包装はしておいたが……迷惑だったかな?」 「いやいや、とんでもありません。ありがとうございます」 「礼を言うのはこっちだよ。前払いとはいえ、久々の上客だったからね。 しかし……大変だっただろう? あれだけのお金を貯めるのは」 「あはは……可愛い嫁さんのためですから。あれくらいはしてやらないと」 「全く、この時期は糖分の取りすぎて苦いものが重宝するよ。 君の他にあと何人、同じような台詞を聞かされた事やら」 考える事は皆同じ、ってわけか。 もう少しこの人と話していたかったのだが、さすがにこれ以上は約束に支障が生じる。 俺はもう一度礼をし、レティが首を長くして待ってるであろう家へと駆け出すのだった。 家に戻るとレティは調理を終えていたらしく、エプロンを脱いで紅茶を啜っていた。 傍から見るとなんて事はない光景だが、その姿を美しいと思ったのは惚れた弱みか。 「ただいま」 「おかえりなさい。どこに行ってたの?」 「んー、レティと同じく晩ご飯までのお楽しみ、かな」 「あら、私に隠し事するつもりなの?」 「いやいや、別にそんなつもりは……」 「冗談よ、冗談。あなたが晩ご飯の時に明かしてくれるって言うなら、私はそれまで待つわ。 なんてったって約束は守ってくれるしね、うふふ」 「……レティ?」 急に立ち上がると、俺を抱きしめてくるレティ。 こうなってしまえば、次に起こる事を予想するのは容易い。 「夕方まで時間があるし……その前に、約束守ってくれたご褒美よ」 「……まだ昼間だぞ」 「あら、今日がどんな日か忘れたの? クリスマスって日は恋人達が互いの愛を深めあう日だと聞いてたけどな」 「大まかな解釈はそれで合ってるが……にしても、ここじゃ場所が悪すぎるだろ」 「それじゃあ場所がよかったらいいのね?」 「ぐ……そ、そう言う問題でも……んんっ」 言い終わる前に、レティに唇を塞がれる。 こう言う時の彼女のキスはただ唇を触れ合わせるだけではなく、 舌を絡め、唾液を送り込み、そしてそれを飲んでいく濃厚なもの。 今回も案の定、互いにたっぷり口内を蹂躙し合い、そして名残惜しそうに互いから離れていく。 「……毎度毎度、積極的だな」 「これくらいしないと満足しないでしょ? それに……私も、あなたが欲しいの。……ダメ?」 「いや……俺も、レティが欲しい」 「ふふ、また違った意味でのクリスマスプレゼントってわけね。それじゃあ……受け取ってくれるかしら?」 「喜んで」 そう言うと、今度はこちらから唇を塞いでやり、そして…… ……その後の記憶は、あんまりはっきりとはしてない。 ただ、気が付いたら日は既に暮れていて、慌てたレティが大急ぎで夕食の支度をし、 そして今、俺はこうして彼女と対面する形で食卓についている。 「ホワイトロックディナー再び、なんてね」 「まあ、ある程度予想はできてたけどな。とっても美味しそうだ」 深皿に入った真っ白なシチューに、カラフルな野菜サラダ、それにケチャップたっぷりのオムライス。 それはかつて、リベンジと称して彼女が作ってくれた夕食の品に他ならなかった。 ただ一つ違うのは、テーブル中央にあったはずのアイスティーのピッチャーはそこにはなく、 代わりに俺とレティの手元にはそれぞれ一つずつ、シャンパンが入ったグラスが置かれてある。 そのグラスを掲げると、彼女も同じようにしてグラスを手に持つ。 「メリークリスマス、レティ。今日という素晴らしい日をレティと迎えられた事に、乾杯」 「こっちこそ、メリークリスマス。あなたといっしょに今日を過ごせて、本当に幸せよ」 チン、とグラスを軽く触れ合わせる。 後はもう多くを語る必要はあるまい。 楽しく会話しながらレティの作った料理を堪能し、シャンパンを飲み交わす。 食後にはなんと、彼女が一から作ったクリスマスケーキまで出てきた。 どれもこれもとっても美味しくて、恐らく今年最も充実した夕食だったと思う。 「ふー……ごちそうさま」 「ごちそうさま」 そして料理はすっかり片付き、いよいよアレの出番がやってくる。 「レティ」 「何?」 「まさか先にもらうとは思わなかったけど……俺からのクリスマスプレゼントだ、受け取ってくれ」 「あ……ありがとう。開けてもいい?」 「もちろん」 プレゼント箱を開いた中には―俺は既に中身を知ってたが―雪の結晶を模った髪飾りが。 ガラスでも銀でも水晶でもない輝きを放つソレは、幻想郷では滅多に見かける事もないダイヤモンド製。 俺の数ヶ月分の貯金が結果として吹き飛んだが、レティの喜ぶ顔のためならこれくらいなんて事はない。 「これ……本当に、私に?」 「むしろ、別の理由が何か思いつく?」 「え、あ、いえ……ありがとう、とっても嬉しいわ……」 笑い顔とも泣き顔ともつかない何とも不思議な表情をするレティ。 後ろに回ってつけてやると、それはとても彼女に似合い、より彼女の美しさを引き立てる。 「どう……かしら?」 「ああ……よく似合ってるよ、レティ……」 「よかった……素晴らしいプレゼント、本当にありがとう……」 その言葉を境に、曖昧だった彼女の表情が一気に崩れ始めたので、 完全に崩れてしまう前にぎゅっと彼女を抱きしめ、顔が見えないようにする。 レティの顔を見れなくなるのは残念だが、かと言って泣き顔は彼女も見られたくないはず。 例えそれが嬉し涙―俺の思い上がりかもしれないが―によるものだったとしてもな。 「大好きよ、あなた……来年も再来年もずっと、いっしょにクリスマスを過ごしましょうね……」 「もちろんだ、レティ……愛してるよ」 やれやれ……よりによってクリスマスに嫁を泣かせてしまうとは、俺も情けない男だな…… 新ろだ947 ─────────────────────────── ふと、衝動に駆られる。 「レティ」 「何かしら……って、きゃっ!?」 反論させる間もなく、目の前の愛しい雪女をぎゅっと抱きしめる。 強く抱きしめれば壊れてしまいそうなくらい柔らかくて、 けれど、冬の化身とは思えないほどにとっても暖かい。 「もう……何よ、突然抱きしめるだなんて」 「嫌だった?」 「嫌じゃない、けど……びっくりしちゃった」 「そっか。ごめんな、レティ」 「ううん、別にいいわ……それより、しばらくこのままでいて……」 「もちろん」 しばらく、そうして彼女の柔らかさと暖かさを堪能する。 不思議とこうやって抱きしめてるだけで、相当な幸福感が心を包んでいく。 愛する人の全てを感じている気分になって、思わず抱擁の力を強くすると、 レティもそれに応えるかのように、背中に手を回してこちらをぎゅっと抱き返してきた。 「ふふ……こうしてると、とっても暖かいわ」 「俺もだ。……にしても、雪女が暖かいってのも妙な話だけどな」 「そうね……あなたにたくさん暖めてもらったから、かしらね。 今ではもう、あなたの暖かさを感じられないと生きていけない体になっちゃったわ」 「俺のせい、って事か」 「そう言う事よ。だから……責任、取ってよね」 「はいはい」 唇を優しく塞いでやる。 今年初めての口付けは、いつものように甘くて柔らかい。 レティの唇を割って舌を滑り込ませ、彼女の舌と絡め合わせる。 キスで互いに昂り始めたのか、自然と抱擁の力が更に強くなる。 まるで、文字通りひとつになろうとしているかのように。 「ちゅ、れろ、ちゅむ、んちゅ、ちゅぱ……」 「んんっ、ちゅぷ、ちゅう、はむっ、ぷはっ……」 一通り互いの口内を蹂躙し、そして息継ぎのために一度唇を離す。 改めて見据えたレティの目は既にとろんと蕩け切っており、その顔は赤く染まっている。 その眼差しにはどこか期待のようなものが含まれているように感じる。 返答がある程度見えていながらも、俺は一応彼女に『それ』を確認する。 「満足した?」 「……もっと、お願い……んんっ」 彼女の意思が見えた瞬間、再び唇を塞ぐ。 こうなってしまえばもはや誰にも止められる術はない。 互いに互いを貪り合いながら、どちらからともなく衣服に手をかけ――― ―――結局、年明け早々やってしまった。 何を、と言われても回答は返ってこないのでご了承いただきたい。 新ろだ966 ─────────────────────────── 「はい、これ」 「?」 レティからそのプレゼント箱を渡されたのは、如月も中旬を過ぎ、冬も終わりにさしかかろうとしている頃。 例年なら、共にいられる残り少ない時間を濃密に過ごそうとお互い無駄に焦っていた時期だが、 1年中いられるようになった今ではそんな事は全くない……と言えば語弊がありそうで、 少なくとも濃密に過ごすと言う点では全く間違ってないというか、なんというか…… とまあ、これ以上は話が脱線しそうなのでそろそろ本題に戻る事にする。 「……えーと、今日って俺の誕生日だったっけ?」 「違うわよ」 「え、それじゃこれは……」 「もう、鈍いわねぇ。今日が何の日か忘れたの?」 しばし頭を巡らせる。 と言うか、大体こうした時に咄嗟に答えが浮かばないのは呆けが進んでいるのか、 それとも目の前のレティに見惚れて脳内がフリーズしているのか。後者だと思いたい。 「……あ、そう言えば……今日ってバレンタインだっけ」 「そう言う事」 バレンタイン。 風の噂じゃ、最近の外の世界は彼女がいるにも関わらずチョコレートを貰えない男性が増えてるらしいが、 どうやらここ幻想郷ではそんな事は全くなかったらしい。 昔はバレンタインなんて滅んでしまえー、とか毒づいていたが、今ではこんな可愛い彼女からチョコを貰う事ができるんだぞ、と、 過去に行けたとしたら昔の俺にでも伝えてあげたいくらいである。 「で……俺に?」 「ホントに鈍い人。あなた以外に誰にあげろと言うのよ。 私が愛してる人は……その、あなただけ、なんだから……」 ぽっ、とレティの白い肌に赤みが差す。 そんなに恥ずかしいんなら最初から言わなきゃいいじゃないか、とふと思ったが、 これはこれでなかなかに嬉しいのでこれ以上は何も言わない事にする。 「……そっか。ありがと、レティ」 「どういたしまして」 プレゼント箱を受け取り、包みを解いて開く。 中にはスタンダードな――と言ってもいいのかは分からないが――ハート形のチョコレート、と、 彼女らしいと言えば彼女らしい、雪の結晶を模ったホワイトチョコレート。 ご丁寧にハート形の方には「I love you」と書かれてある。永久に保存しておきたいほどの代物だが、しかしそれは許されない。 「食べても、いい?」 「もちろん」 ハート形の方のチョコを手に取り、一口かじってみる。 ……うん、大方の予想通り甘ったるい。けど、レティが俺のために作ってくれたチョコレートだと思うと、 不思議とその甘さも苦にならない。むしろ美味しすぎて何個でもいけそうな、そんな気さえする。 「……うん、美味しい」 「それはよかったわ。もう1個の方も食べてよ」 促されるままに、今度は白いチョコレートを一口。 こっちはちょっと甘さ控えめ。それでも甘ったるい事には変わりないけど。 見た目通りのミルクチョコらしく、ほんのりと口に広がる生クリームの風味。 「んー、俺的にはこっちの方が好きかな。どっちのチョコレートもすごく美味しいけど、ね」 「当然よ。だって……あなたへの愛を、いっぱい……込めてるもの」 「レティ……」 またも頬を赤らめて、小声でぼそっと言うレティ。 そんな彼女がたまらなく愛しくて、俺はぎゅっと彼女を抱き寄せた。 ふんわりとして柔らかな彼女の体は、強く抱き締めると壊れてしまいそうな錯覚さえ起こす。 細心の注意を払ってできるだけ優しく抱き締めてやると、彼女も俺の背中に手を回し、抱き返して来た。 しばらくそうして無言でお互いの温もりを感じ合っていたが、やがてレティがおずおずと口を開く。 「……ねえ」 「何だい?」 「私さ……その、チョコの味見、してなかったのよね。 だから、どんな味か知りたいなー、なんて思ったりしてるの。……ダメ、かな?」 それが本当か嘘かは定かではないが、そんな事はどうでもいい。 彼女の本心が別のところにあると悟った瞬間、俺はチョコを一口かじり、そしてそのまま彼女の唇を塞いだ。 「んんっ……ん、ちゅっ……ちゅぷっ、くちゅ、れろ……」 口の中で溶けかけたチョコレートを、唾液といっしょにしてレティの口内に送り込む。 舌を絡める中で溶けていくその感触を味わいながら、同時にその味をも楽しむ。 彼女の唾液と混ざりあったチョコレートの味は、先ほどより格別に、それこそ身も心も溶けそうなくらいに甘い。 どの食べ物でも表現する事ができないであろうその甘みを、俺はひたすら彼女と貪る。 口の中でチョコレートの味がしなくなってもひとしきり舌を絡め続け、ようやく唇を離す。 つう、と唇の間に垂れた銀色の橋に、わずかな黒色が混じっていたのは気のせいか。 「……どうだった?」 「うん……とっても、美味しかった。もっと、食べたいな……んんっ」 さっきと同じようにして、再び彼女の唇を塞ぐ。 結局、チョコレートがなくなるまで彼女の“味見”は続き、 その頃には気がつけば、レティの顔にはすっかり赤みが差し、目はとろんとしている。 まあこうなった原因は俺にあるし、俺だって今更理性の崩壊を止めようなどとは思わない。 「ねぇ……お願いがあるの…… ホワイトデーのお返し……今、もらってもいい……?」 俺が頷くと、彼女は俺の服に手をかけて、そして…… (省略されました、続きを読みたい人はカカオ100個を丸かじりしてください) そして、夜。 隣の布団ですやすやと眠っているレティを見ながら、俺は思案に耽っていた。 彼女はああ言ったが、やっぱり素晴らしいバレンタインの贈り物を貰ったからには、 こちらも素晴らしいホワイトデーのお返しをしなければなるまい。 かと言って俺にはお菓子作りの才なんてないし、市販のもので済ませてはレティのチョコと釣り合わない。 どこぞの姫様が出す難題よりも難しい問題を突き付けられているのが現状である。 「うーん……」 あれこれ悩んでも仕方ない。 疎いなら疎いなりに誠意を尽くせばきっといい物が出来上がるだろうし、 よしそうならなかったとしても彼女は許してくれるだろう……多分。 そう考えると心がすっと軽くなり、俺はレティの頬にそっとキスをし、耳元で囁く。 「……ホントにありがとな。おやすみ、レティ。愛してるよ」 その時、彼女の体がピクッと跳ねたのは、果たして事実か気のせいか。 目を閉じる前にちらっと見た彼女の表情は、心なしか笑顔を浮かべているように見えた。 ―――最高のバレンタインを、ありがとう――― 新ろだ1015 ─────────────────────────── キッチンで悪戦苦闘してる彼の姿が見られるようになったのは、1週間ほど前からだっただろうか。 深夜、ふと目を覚ますと台所の明かりがついてるものだから、何があったのかとこっそりと覗いてみると、 そこには普段着る事などないだろうエプロンを身に纏い、時折後ろに置かれた本をちらちらと見ながら、 一心不乱に何かを作っている様子の彼がいた、と言う話だ。 「……何してたのかしら」 翌日、彼よりも早く――と言っても、彼は昨日夜中まで起きてたし、 朝食を作らないといけないから、私が彼より早く起きるのはいつもの事だけどね――起きた私は、 昨日彼が見ていたであろう本を探す。 こう言う時男の人は、自分にとって分かりやすく、かつ他人からは見つかりにくい場所をよく知ってるものだが、 彼の事を誰よりも詳しく知ってる私にとって、見つけるのは雪を降らせるよりも容易い。 「……あった」 リビングの床下に作られた、天然の氷室。 傷みやすい肉や魚などがびっしりと羅列されているその下に隠された、袋に詰められた1冊の本。 袋から取り出したその本の表紙には、ケーキ・プリン・クッキーなどのお菓子の絵と共に、こう描かれてある。 『初心者でも簡単!! 手軽に作れるお菓子作り』 本を袋にしまい直し、元あった場所に隠し直してから、私は誰に言うわけもなく一人呟いた。 「……なるほどね」 1ヶ月前のバレンタイン。 ……思い出すだけで恥ずかしいのだが、確かにあの時、こう言った記憶がある。 『ホワイトデーのお返し……今、もらってもいい……?』 バレンタインと対になるイベント、ホワイトデー。 私としては、あの時彼が私にしてくれた行動だけで十二分に満足だったのだが、 どうやら彼はまだ物足りなかったらしい。もう、それならそれであの時もっと…… ……自分が何を考えているかに気づいて、顔がほんのりと火照るのを感じる。 ともかく、普段料理すらほとんどしない彼が、私のためにお菓子を作っていると知ると、 胸の中が幸せで満たされていくのを感じ、不思議とうきうきした気分になる。 「おはよ、レティ……ん? 何か楽しい事でもあったのか?」 しばらくして起きた彼に指摘されるまで、鼻歌を歌いながら朝食を作っていた事に気づかないほどに。 「ここを、こうして……えーと……」 ホワイトデー4日前。 ここ最近、夜中に台所に立つ彼の様子を見るのが、私の密かな楽しみとなっている。 慣れないエプロン姿の彼も何だか可愛くて、また一つ彼の事が好きになった。 料理を一生懸命に作っている子供を見守る母親の気分って、きっとこんな気分なのだろう。 ……って、あれ? 煙? 「うわっ!!」 彼の慌てふためいた様子を見るに、何かただならぬ事が起きたようだ。 見つかるとか見つからないとかそう言う問題以前に、火事という最悪のケースも十分考えられる状況。 家は燃え尽きたとしても、彼が燃えてしまう事だけは何としても避けなければいけない。 魔力で寒気を練りながら私はパッと飛び出そうとして、 「あちゃー、また失敗しちまった。全く、ソースからこれじゃプリンなんて無理だよな」 寸前のところで思い留まった。 どうやらカラメルソースを作ろうとして、砂糖を加熱し過ぎたらしい。 ……この3日間、カラメルソースだけで悪戦苦闘してたのかしら? そうは考えたくない。 でも……うん、色んな意味で私も彼も一途だから、ある意味あり得るかも。 そもそもホワイトデーにプリンってのも……まぁ、何を作るかは彼の自由だし、 どのような出来でさえ、彼からの贈り物ってだけで私は幸せな気分になれるし。 さらに、翌日の夜中。 「ここまでは上手くいったが……さて」 辺りを包む甘い匂いは、きっとキッチンにあるオーブンから漂ってるものだろう。 この分だとクッキーでも焼いてるのだろうか。どうやらプリンは諦めたらしい。 心配いらなかったようね、と私が眠りにつこうとしたその時、 「……またやっちまった」 甘い匂いが一点、何かが焦げた様な臭いに代わり、もくもくと黒煙が立ち込み始める。 焼く時のミスだから数回焼けばきっと成功するだろうと思って今度こそ布団に入ったが、 その後、不快な臭いと黒煙は、結局彼が諦めて布団に潜り込んでくるまで漂っていた…… ホワイトデー2日前。 いつものようにキッチンに明かりがつき、そこではきっといつものように、彼が悪戦苦闘してる。 いつもと違うのは、私が布団の中にいるって事だけ。だから、彼の様子は分からない。 興味本位で彼を見守る事を始めたが、さすがにここまで失敗続きだと何だか申し訳ない気すら思えてくる。 これ以上見てるのも辛いので、私は布団に潜り込んで寝ようとした。寝ようとしたのだけれど…… 「……うぐ~」 眠れない。とにかく眠れない。 目を閉じて寝ようとしても、気がつくとどうしても明かりのついてるキッチンが気になって目を覚ましてしまう。 明かりが差し込んでるからとか、彼が立てる騒音がうるさいからとかそういうものじゃなく、 ただ何となく、しかし確実に私の睡眠を阻害している『何か』が私の中にある。 しばらく目を開けたり閉めたりしていた私だったが、ようやく睡魔が私の元にも訪れたらしく、私の意識は闇に溶けていった。 ホワイトデー前日。 「それじゃ、もう寝るよ。おやすみ、レティ」 「ええ、おやすみ、あなた」 寝る前の口付けを交わし布団へ潜る彼を、私はしばらく呆然と見つめていた。 あくまで私の感覚の話に過ぎないのだが、ホワイトデーが近くなるにつれて、 だんだんと彼がキッチンに立つ時間が減っていったように思う。 そして今日に至ってはそこに立つ事すらせず、私が寝るよりも早く布団の中に入ってしまった。 「……はぁ」 漏れた溜息は落胆か、それとも失望か。 お菓子作りは確かに難しい。バレンタインの時にチョコレートを手作りした私にはそれがよく分かるし、 料理に手慣れているわけでもない彼にとっては尚更だっただろう。 けれど、どんな形になっても、やる以上は最後までやって欲しかった。投げ出して欲しくなかった。 こんな事ぐらいで私が抱く彼への愛情が薄れる事はないだろうけど、それでもやっぱり…… 「……ま、いっか」 ここで色々と愚痴っても仕方がない。手作りを諦めた以上、明日のプレゼントは市販だろう。 値段は気にしない。彼の気持ちが籠っていさえすれば、私はそれでいい。 単に高級なものを買って気を引こうとする人ではない事を、私はよく知っているから。 そして、ホワイトデー当日。 いつもと変わらないゆったりとした時間が過ぎ、そしてあっという間に夜。 夕食をいっしょに食べ終えた彼が、何やら神妙な面持ちでこちらをちらちらと見ている。 「どうしたの? 私の顔に何かついてる?」 「あー、いや……レティ、今日何の日か覚えてる?」 「もちろん。ホワイトデー、でしょ? バレンタインのお返しに、あなたが私にプレゼントしてくれる日」 「ん……知ってるなら話は早い。手作りだから口に合わないかもしれないけど、受け取ってくれ」 「わぁ、ありがとう……でも欲を言えば、あなたの手作りがよかった……って、え?」 差し出されたプレゼント箱を受け取ろうとして、そこで私は彼の言葉に気づく。 「……ねぇ、今『手作り』って言った?」 「市販の方がよかった? そりゃそうだよな、お菓子作りド素人の俺が作ったものなんて……」 「わーっ、わーっ、そう言う意味じゃないから!!」 昨日の行動は、そう言う事だったのか。 つまり彼にとって満足のいくものが出来ていたから、台所に立つ必要がなかったと。 それを悟ると同時に、昨日の私は何て事を考えてたんだろうととっても申し訳ない気持ちになる。 銀色で統一された包装紙とリボンを外し箱を開けると、そこには白くて丸い物体が数個。 「これ……マシュマロ?」 「まだ向こうにいた時から、何となくホワイトデーにはこれを贈るべきって考えが頭の中でずーっとな。 結局それを実現に移せたのは、これが初めてなわけだけど。……別のがよかった?」 「ううん、ありがとう……食べてみるね」 手に取ってふわふわとした感触を楽しみつつ、私はマシュマロを1個、口の中に放る。 チョコレートと同じく口の中でだんだんとその形が崩れていく中に、砂糖の甘みとは違う甘い香り。 恐らくはバニラエッセンスでも入れたのだろうか、いいアクセントになっている。 味が気になるのだろうか、口の中でマシュマロを弄ぶ私の顔を、彼は不安げな表情でずっと見つめている。 この顔をもうしばらく堪能するのもいいが、彼を安心させてやろうと思って私はごくんとそれを飲み込む。 「……どう?」 「……うん、とっても美味しい」 「そっか。レティにそう言ってもらえて、よかった」 ぱぁっと、彼の顔に笑顔が綻んだのを見た私の中で、何かが弾けた。 「そうだ、あなたにも食べさせてあげるね」 「は?」 きょとんとした顔をする彼を尻目に、私は2個目のマシュマロを半分だけ口に含み、 そして彼の口元に、口から半分だけ出たマシュマロを近づけていく。 きっと私の顔は真っ赤になっているのだろう。顔の火照りでそれは分かる。 けどそれ以上に、今だけはどうしようもなく彼が欲しい。彼に思いっきりこのマシュマロを、そして、私を食べて欲しい。 「……ん」 おずおずと言った感じで、しかし彼もマシュマロを口に含んだようだ。 だって、二人の唇はしっかりと触れ合ってるもの。目を瞑っていてもそれだけは確かに分かる。 気が付いたら互いに抱きしめ合いながら、二人で一つのマシュマロをただひたすら貪っていた。 マシュマロが溶けきっても相手の口内を思う存分自分の舌で蹂躙して、そして唇を離す。 本当にわずかの間だけ息継ぎのための休憩を取ると、再びマシュマロを口に含んで二人で食べる。 そうしてホワイトデーの夜はゆっくりと、幸福に包まれながら過ぎていった…… 「おやすみ、レティ」 「おやすみ」 結局、マシュマロがなくなってからも私達の『味見』は続き、 ようやく私が彼といっしょの布団に潜り込んだ時には、既にホワイトデーは終わっていた。 明日の朝はきっと起きられないだろう。そして起きた時、二人して赤面するのだろう。 一度火が付いてしまうと羞恥心なんて忘れて互いに求めあうのに、我に返ると恥ずかしさを感じるなんて妙な気分だけど。 多分、これからも私達はそんな関係であり続けるのだろう。それに、それでいいじゃないか。 「……愛してるわ、あなた」 火が消えないうちに耳元で愛を伝えると、無意識からか、私の事をぎゅっと抱きしめてくる。 その事がたまらなく嬉しくて、こちらからも抱き返しながら私は眠りにつくのだった。 ―――最高のホワイトデーを、ありがとう――― 新ろだ2-039 ─────────────────────── 「ほらほら、早くしないとおいてくわよー」 「おいてかないでー」 人ごみの中、気を抜くとすぐに見失ってしまいそうなレティの姿を追って行く。 こうならないように最初から手を繋いておいたはずなのだが、出店が目に入った瞬間手を離してこれだ。 想定外の行動で少し面喰ったが、まぁこう言う風に振り回されるのも悪くはないかもしれない。 何せ彼女にとっては初めての夏祭りだ。気分がうきうきしない方がおかしいだろうと思う。 「すいません、リンゴ飴二つくださいな」 「あいよ、まいどありー」 「……やーっと追いついた、そんなに急がなくても……」 「はい、これ」 ようやく追いついたところで、リンゴ飴を満面の笑みで渡してくるレティ。 いつもとは違う淡い青色の浴衣と相まって、言葉では絶対に形容できないような反則的な可愛さだ。 受け取ったリンゴ飴にも焦点を合わせないまましばらく見つめ、ようやく我に返る。 「……二人でゆっくり巡る、って約束だっただろ? 楽しみだったのは分かるけど」 「ごめんなさい……でも、どうしても我慢できなくって。前からずっと食べてみたいって思ってたから」 「それなら仕方ないな。でも、レティって時々こういう子供っぽいところあるよね」 「む、失敬ね。こう見えてもあなたより長い年生きてるのよ?」 「うん、知ってる。それにそう言うところも可愛いから別にいいんじゃないかな」 ぽっ、と、レティの頬が紅色に染まる。 照れ隠しのようにリンゴ飴をちろちろ舐め始めたが、そういう仕草も無論可愛いわけで。 今すぐぎゅっと抱きしめてあげたい衝動に駆られるが、今はお祭りを楽しむのが先。 「ほら」 「あっ……」 リンゴ飴を握っていない方の手で、レティの手をぎゅっと握る。 今度は絶対に離れないように、指と指を絡め合って。 「こうしておけば、人ごみで離れる事もないよね」 「うん、そうね。でも絶対に離しちゃダメよ?」 「分かってるって。じゃ、行こっか」 「ええ」 こうして仕切り直して、二人でお祭りを楽しむ事にしたのだが…… 「あ、かき氷!! すみません、二つくださいな」 「あの焼きそば……美味しそうね。買ってもいい?」 「えへへ、たこ焼き食べたいなぁ……ダメ?」 どこぞの亡霊嬢を彷彿とさせるかのように、レティは次から次へと食べ物を買っては胃に収めて行く。 普段こんなに食べる事はあんまりないんだけど……お祭り効果、恐るべし。 ちなみに当然二つずつ買っているので、繋いでない方の手にはたくさんの袋がぶら下がっている。 俺としては隣ではしゃいでいるレティを見るだけでお腹いっぱいです。ありがとうございました。 「あ、ねぇねぇ、綿あめ売ってるわよ」 「買うかい?」 「もちろん」 出店に近寄るとなんとも甘い香りが広がる。 最初に買ったリンゴ飴がようやくなくなりかけてるのに、また甘いもの。しかも袋に仕舞う事もできない。 頑張って食べるしかないなぁと二つ分の代金を取り出そうとするが、 「すみません、綿あめ一つくださいな」 ……一つ? 気持ちを察してくれたのか、でもそうだとしたらなんだか申し訳ないなと思いつつ、 代金を渡したレティが引き換えに綿あめをもらうのをぼんやりと眺める。 「ふふ、そんな顔しなくても大丈夫よ。大きいから二人で食べようって思っただけだから」 「……あ、そう言う事か」 「そう言う事よ。少し疲れちゃったし、離れた場所でゆっくり食べましょう」 「うん、そうしよっか」 屋台の列から少し離れると、お祭りの喧騒は途端に鳴りを潜める。 人気が全くない林の中、手頃な大きさの岩を見つけ、レティと共に腰かけた。 近くに川でも流れているのか、うっすらと水の流れる音が聞こえる。 「賑やかなのもいいけど……やっぱり、こうして静かな中であなたといっしょにいる方がいいわ」 「賑やかでも静かでも、レティといっしょにいられるならいつだって幸せ……かな」 「あら、お上手なんだから」 「思った事はそのまま口にするタイプだからね。浴衣、とっても似合ってるよ」 「そ、そうかしら……ありがと」 暗闇の中でも、頬が赤に染まったのははっきりと分かる。 しばらく交わす言葉もなしにただただそうしていたが、やがてレティがゆっくりと口を開いた。 「……綿あめ、食べよっか?」 「そうだね」 差し出された綿あめに、一口かじりつく。 ふんわりと口の中で溶け、ざらめの懐かしい甘さが口いっぱいに広がる。 レティも向こう側からかぶりついたようで、しばらく口をもぐもぐさせていた後、ほうっと笑みが広がった。 「美味しい……」 「あぁ、美味いな」 あれだけ大きかった綿あめは、見る見るうちにその面積を小さくしていく。 軸になっている割り箸がくっきり浮かび上がるくらいまで小さくなると、当然二人の顔も近くなるわけで。 食べるのに夢中になってふと気がついてみれば、レティとの距離は唇が触れてしまいそうなくらいになっていた。 「っ!?」 「あ……っ」 レティもそれに気づいたようで、お互いパッと離れて赤面する。 別に誰もいないのだから見られると言う事はないのだけれど、それでもやはり気恥ずかしさはある。 あぁ、でも、食べるのに夢中になってたレティの顔、可愛かったなぁ……なんて。 「……なぁ、レティ」 「?」 「最後の一口……いっしょに、食べる?」 「うん……いいよ」 どちらからともなく、残り少なくなった綿あめに顔を近づける。 顔が近いのはもう気にしない事にしても、今の二人を隔てるものは割り箸一本だけ。 その事実に更に顔を真っ赤にしながらも、とりあえずは綿あめを食べ切る事に集中する。 やがて、割り箸からも完全に綿あめの残滓が消え失せると、レティはこちらを潤んだ目で見つめてくる。 「なくなったわね、綿あめ」 「そうだね」 「……でも、もっと食べたいわ」 「……もう1個買ってこようか?」 「バカ。そう言う意味じゃないって事くらい、分かってる癖に」 分かってる。 割り箸から綿あめは消えても、口の中に残っているこのかすかな甘み。 ゆっくりとその割り箸を引き抜いてやれば、もう二人を隔てるものは何もない。 「えへへ、それじゃ、いただきます……ちゅっ」 そうしてレティが唇を合わせて来たのを皮切りに、ただお互いを求め始める。 強く抱きしめながら舌を絡め、唾液を交換し、飲み干していく。 ともすれば口で繋がってるのではないかと錯覚させるような濃厚なキスに、頭の中がどろどろに溶かされていく。 肌蹴た浴衣から見えるレティの白い柔らかい肌。綿あめよりも甘美なレティの唾液。 それら全てが理性を秒単位で壊していき、気がつけば彼女を押し倒すような格好になっていた。 「っ……」 レティが息を飲む音が聞こえたが、それっきり時間が止まる。 これから何が起こるか、彼女もある程度想像しているのだろう。 「いいよ……来て……」 艶を含んだ声でそう言われ、 「……ダメだ」 「えっ……?」 それを、あえて断る。 「どうして? ……どうして、ここまでやって……」 「だって、ほら」 暗闇を一瞬で照らす光。空に響き渡る爆音。 「花火、始まっちゃった」 レティを起こし、肌蹴た浴衣を元に戻してやる。 座った岩の位置がちょうど絶妙で、林の中からでも木に邪魔されず、くっきりと花火が見えた。 赤、緑、黄などの様々な色の花が空に咲き、そして儚く消えていく。 「綺麗ね……」 初めて見るだろう花火を、レティもうっとりとした表情で見つめている。 互いを求め合うのも確かにいい事だけど、それで本来の目的を疎かにしては本末転倒。 『夏祭りをレティと楽しむ』、今回はそのつもりでここに来たのだから。 「……ありがとう。あなたのおかげで、夏も好きになりそうかも」 「あぁ、どういたしまして。そう思わせられたなら来た甲斐はあったよ」 片手だけ繋いでお互いを確かめ合ったまま、次々と空に上がる花火にただただ見惚れて行く。 ……と、不意に耳元で、レティが囁いた。 「花火が終わったら……さっきの続き、しましょうね?」 もちろん。 夏祭りを堪能した後は……レティを思う存分堪能させてもらおう。 新ろだ2-311 ───────────────────────
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トップページ>SSの時代の世界>教会について レス抜粋 帝國の国家宗教である「教会」について開示されたレスを抜粋してまとめてみます。 128 名前: 【army 610】 名無しロサ・カニーナ ◆HiIyB3Xw.2 [ sage] 投稿日:2009/03/31(火) 01 29 51 神 ID ??? >120 ケイレイたん シル子 そゆことです(苦笑 で橙子さんは、人形師として完全なる人間のコピーに挑んで、考えてみれば男女がヤれば 人間できちゃうじゃん、じゃあ、人形師として目指すべきはどこよ? と悩んで、宗教にはまってしまったのでした(w なので、橙子さんの究極の目標は、八相の完全な状態の観測者たる存在を作りだすことなわけです。そこで自分が 観測者になるのは、自分も観測される対象であり、観測される事で自分はこういう形に確定している以上、八相の場 から独立して観測者になるのは無理じゃん、と、割り切ったからで。 「教会」の言う創造主は、八相が分化する前の状態を認識し、それを分化させた存在ですので、それを目指すよ、と。 134 名前:∠(,,゚д゚)ケイレイ・トライアヌス ◆nbyvo04lz. [sage] 投稿日:2009/03/31(火) 01 32 26 ID ??? > 128 シル子 ああ。 今イメージしたのは、八相に対して理想的な人間を想定して、 「それこそが人間のアーキタイプなのだ」と言い張ってる教会の姿なんですが>< 存在していない理想物が、創造主という逆転した状況と言うか>< 142 名前: 【army 610】 名無しロサ・カニーナ ◆HiIyB3Xw.2 [ sage] 投稿日:2009/03/31(火) 01 35 28 神 ID ??? 134 ケイレイたん シル子 そゆことです(w つまり創造主が作りたもうた最初の人間は、主に似せられて作られた、と主張しております。 何故なら、聖典にそう書かれているから。で、今の霊長類は、そこから分化していった存在である、と。 149 名前:∠(,,゚д゚)ケイレイ・トライアヌス ◆nbyvo04lz. [sage] 投稿日:2009/03/31(火) 01 39 00 ID ??? > 142 シル子 はい。 カタリナ様が宗教にハマったわけも、現在でも矛盾無く教皇である理由もなーんとなくわかりましたwww でも教会そのものは、八相に対して全く形骸化してるんですね。 だから真理に近づくには、教義ではなく、魔導を研究するしかない、と 162 名前: 【army 610】 名無しロサ・カニーナ ◆HiIyB3Xw.2 [ sage] 投稿日:2009/03/31(火) 01 44 51 神 ID ??? >149 ケイレイたん シル子 というか、「教会」そのものが古代魔導帝国崩壊前後に生まれた宗教なんですよ。で、キリストに当たる存在がいて、 それが特異点というか、文字通り八相を限りなく理想的な状態で操り、数々の奇跡を成し遂げ、あげく死と生の間すら 行き来したんですねい。で、その奇跡を追いかけていく過程で、「教会」の組織が確定していった、と。 で、教義を証明するには魔導を研究するしかない、から、魔導は創造主の存在の証明である、となって、魔導=奇跡 みたいになってしまった、と。で、いやそれは違うから、と、新教徒が出てきて、異端だ旧弊だと宗教戦争、という(w なので、中世の魔術が同時に神学の証明でもあったように、魔導の研究は「教会」の教義の証明でもあるのですねい。 166 名前:わいるどうぃりぃ ◆oMAb82rwS6 [sage] 投稿日:2009/03/31(火) 01 48 33 ID ??? そして今日はここまでということで更新 167 名前: 【army 610】 名無しロサ・カニーナ ◆HiIyB3Xw.2 [ sage] 投稿日:2009/03/31(火) 01 49 16 神 ID ??? >166 わいるどうぃりぃさん シル子 お疲れ様でしたー 168 名前:∠(,,゚д゚)ケイレイ・トライアヌス ◆nbyvo04lz. [sage] 投稿日:2009/03/31(火) 01 49 37 ID ??? > 162 シル子 ということは、カタリナ様は、「待たれていたもの」「マフディー」あるいは「救世主」のようにも 見なされていたことがある、と? 彼女が救済活動を深く行っていた頃は、その行いと同時に、その技をして、救世主のように見なされてしまったことがあるんじゃないか、と。 教会は、公式非公式に完全に否定しているでしょうけれど。 魔導があり、魔道があり、さらに彼女様な人がいるからこそ、 魔法は異端ではなく、正道なのですね。 173 名前:わいるどうぃりぃ ◆oMAb82rwS6 [sage] 投稿日:2009/03/31(火) 01 51 32 ID ??? > 167 シル子 どもうー あいかわらずの外道エロばなしですが 178 名前:∠(,,゚д゚)ケイレイ・トライアヌス ◆nbyvo04lz. [sage] 投稿日:2009/03/31(火) 01 54 21 ID ??? > 166 シル子 えろいなあもうw 今回は、闇色が薄まって、精神的な辛さはなくなりましたね。 むしろ辛さから逃げて、ルクレツィアと一緒に堕落していると言うかw 188 名前: 【army 610】 名無しロサ・カニーナ ◆HiIyB3Xw.2 [ sage] 投稿日:2009/03/31(火) 01 57 26 神 ID ??? >168 ケイレイたん シル子 ですです。というか、教皇に祭り上げられたのも、その奇跡の技によってですし、同時に「教会」の教義に精通した上で 証明を行ったからなんですねい。実際に聖典にあるのと同じ奇跡を行使してみせられては、「教会」としても異端だと否定 しきれず、しかも彼女のバックには皇帝と副帝の実際の権力機関があった、という。 正教会は基本的に修道院で教義の証明のために魔導を研究していたのですが、公教会は大衆に布教していく過程で 魔導の奇跡の部分を強調するようになり、教義の原点に魔導が本当にあるのかどうか、そこから解釈していくべき、と、 聖典至上主義に走って、新教会は聖典の原典の発掘から始めるべき、と原点回帰を唱え、聖典と魔導の研究は分離する べき、と、なった、と。で、聖典の教えの原点に徹底的に回帰した連中が、清教徒、と。 201 名前:∠(,,゚д゚)ケイレイ・トライアヌス ◆nbyvo04lz. [sage] 投稿日:2009/03/31(火) 02 01 41 ID ??? > 188 シル子 双性人がうまれなくなって、聖典実証ができなくなって それでも技成すために修行をしたのが正教会 奇跡に縋る大衆とのかかわりで、過去にあったんだからあったんだ、という教条化した公教会 じゃあそれは本当なのか、資料から明らかにしろと言い出した新教会 いいから聖典に従えが清教徒、 とひねくれてみました>< 207 名前:∠(,,゚д゚)ケイレイ・トライアヌス ◆nbyvo04lz. [sage] 投稿日:2009/03/31(火) 02 02 36 ID ??? > 196 お疲れ様でした おやすみなさい。 ウリも寝ます。 皆様おやすみなさい。 209 名前: 【army 610】 名無しロサ・カニーナ ◆HiIyB3Xw.2 [ sage] 投稿日:2009/03/31(火) 02 03 26 神 ID ??? >201 ケイレイたん シル子 まあ、そういうわけです(www まさしく今のキリスト教会ですねい。
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概要 組織名 セント・ルクレツィア教会 分類 大規模ミグラント リーダー ジャン・J・リーベルト 主な活動場所 高層区 該当マップ UPPER AREA 設定使用条件 フリー メンバー投稿 今のところ不可 高層区の一角を完全占拠している大規模ミグラント集団。 元AC乗りの創設者が私財を投げ打って高層区の教会を購入、そこで戦災孤児を集めた孤児院を設立したことに端を発する。 十数人の子供たちから始まった孤児院には、やがて第九領域の様々な場所から貧しい子供たちが集まり、さらには縄張り争いや権力闘争に負けた弱小ミグラントたちも流入。 気付けば他の強豪ミグラントと肩を並べるほどの巨大な集団となっていた。 集団としての統率が取れるよう、ある程度の人数でグループに分けられ、グループリーダーも存在するが、基本的に立場の優劣は存在しない。 男性は地下サルベージや残骸集めなどの肉体労働、女性は家事や子育てに勤しんでおり、モットーは「その日その日を慎ましく生きる清貧さ」。 すでに一つのコミュニティとして自立して機能し、少なくとも彼ら自身は平和的な生活を送っている。 対外的にも基本的には平和主義であり、よほど金に困らない限り戦火に積極的に介入しようとはしないが、存在を脅かす相手に対しては徹底抗戦の姿勢を崩さない。 そのために独自の防衛戦力を有しており、四機のACも所有する。 所属キャラクター 代表 ジャン・J・リーベルト 保有戦力 The Justice (ランクD/軽量二脚) The Love (ランクB/タンク) The Power (ランクA/重量二脚) The Wisdom (ランクC/軽量逆関節) 投稿者:C.Venom ACチーム C.Venom VD未対応 組織
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サタンがあーだこーだ言ってないで 霊感商法で高額献金させて家庭や家族を崩壊させた事に対して 謝罪しろ旧統一教会! 本当のサタン(悪魔)は家庭を崩壊させる旧統一教会だ!💢 まぁ俺も釣りスピ信者だけど。 尚、花井弘翔はオウム真理教の信者の模様 -- 匿名希望 (2022-11-05 18 07 46) 名前 コメント
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名前に“エステル”を含むカード イースvs.空の軌跡 オルタナティブ・サーガ FC/015 エステル/遊撃士 FC/101 棒術具の使い手 エステル/遊撃士 FC/P01 アドル&エステル/型破り FC/P03 臨戦態勢 アドル&エステル/型破り 空の軌跡シリーズ FC/049 エステル・ブライト/準遊撃士 FC/051 恋する乙女 エステル/準遊撃士 FC/053 元気少女 エステル/遊撃士 FC/055 思い込んだら一直線 エステル/遊撃士 関連効果 サルベージFC/102 双剣の使い手 ヨシュア/遊撃士【スパーク】【自】あなたは自分の控え室の名前に“エステル”を含むカードを1枚まで選び、自分の手札に戻す。